“砂テトリス”こと 『Setris』、テトリス社側より「タイトルと音楽似すぎ」と著作権侵害通知受けたとして配信停止。しかし改名などして配信マッハ再開

“砂テトリス”として話題になっていたゲーム『Setris』について、テトリスホールディング(Tetris Holding)より著作権侵害の申し立てを受けて配信停止されるも、即配信再開されていたという。

“砂テトリス”として話題になっていたゲーム『Setris』について開発元は6月5日、テトリスホールディング(Tetris Holding)より著作権侵害の申し立てを受けていたと報告した。6月6日ごろには、itch.ioより本作が削除されたようだ。しかし同日にはほぼ間髪入れず『Sandtrix』へと名前を変えるなどして、削除前と同じPC(itch.io)向けに再配信されている。インフルエンサーでライターのロッズ氏が国内向けに伝えている。


『Setris』は2023年5月17日にリリースされた、“砂テトリス”と表されるパズルゲームだ。本作ではさまざまな色・形状のブロックを積み重ね、同色を横一列に繋げることでブロックを消していくことを目指す。ただしブロックは砂のような特性をもっており、接地すると崩れてしまう。その挙動は重力に従っており、盛り上がったところにブロックを落とせばさらさらと広がっていく。一方、谷間になっているところではブロックは狭い幅にまとまる。

こうした砂のように崩れるブロックは、プレイエリアの端から端まで繋げることで“横一列”に並んだとみなされる。ブロックには4種類の色が割り当てられており、同じ色のブロックを繋げることで消える仕組みだ。砂の挙動を上手く利用して、「同色砂の線」を作ることでブロックを消していくのだ。

本作は見た目が『テトリス』風でありながら、ルールやゲームプレイの印象はかなり別物となっている。ブロックが脆く崩れ去っていく特徴的なビジュアルや、独特なゲームプレイはSNS上で大きな話題になっていた(関連記事)。


そんな『Setris』は6月5日にテトリスホールディングによって、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく著作権侵害が訴えられたという。同社は“本家”『テトリス』の著作権保有者である。itch.io上に公開されている削除通知書とされる文章によると、『Setris』が同社の著作権を侵害していると申告されている。具体的には同社の登録商標である、『テトリス』のゲームプレイ中に流れるお馴染みのロシア民謡が、『Setris』に無断で用いられていると主張されている。このロシア民謡は、テトリスホールディングが米国にてゲームソフト向けなどでの使用時の音響商標を取得している。事実、『Setris』のタイトル画面では該当曲の聞き慣れた旋律が使用されていた。

また『Setris』という名称が、登録商標の「Tetris」を侵害しているとも指摘されている。同社は、本作の名称が「Tetris」とたった1文字違いであり、消費者を混乱させる可能性が高いと主張。以上の点を不正行為とし、同社はitch.ioに対し本作の削除を要求していたようだ。そして6月6日には本作開発元のmslivoが、本作の公式Discord上で『Setris』が削除されたと報告している。itch.io側による取り下げか、mslivo側の判断による取り下げかは不透明だ。

この一方で、本作開発元は6月6日にPC(itch.io)向けに『Sandtrix』をリリースした。同作のゲーム内容はほとんど『Setris』と変わっていない。しかし、名称およびタイトル画面の音楽が変更されている。著作権侵害の申し立てに対処したかたちなのだろう。なお同作は現在ver1.4までアップデートが重ねられ、ゲームプレイの改善やエンドレスモードの追加などがおこなわれている。

オマージュが一線を超えたためか、著作権侵害の申し立てを受けたかたちながら、mslivoの開発意欲は衰えないようだ。『Setris』を触ったことがある方も、この機会に同作を遊びなおしてみてはいかがだろうか。また、同様に『テトリス』オマージュの作品を作りたい開発者は、著作権侵害を避けるためにも使用する名称や音楽などに一定の注意を払う必要はありそうだ。

『Sandtrix』はPC(itch.io)向けに、ユーザーが価格を決めるName your own price方式で配信中だ。




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Yusuke Fujii
Yusuke Fujii

JRPGのストーリーと音楽が大好き。PvPは見る専。

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