ユービーアイソフトが任天堂と協力して開発し、昨年12月にNintendo Switch向けに発売された『マリオ+ラビッツ ギャラクシーバトル』について、当初任天堂は“Nintendo Switchの次のハード”での発売を提案していたという。ユービーアイソフトのCEO Yves Guillemot氏が、海外メディアGamesIndustry.bizとのインタビューのなかで明らかにしている。
『マリオ+ラビッツ ギャラクシーバトル』は、任天堂の「マリオ」とユービーアイソフトの「ラビッツ」という両社の人気IPがコラボしたターン制シミュレーションアドベンチャーゲーム。2018年発売の『マリオ+ラビッツ キングダムバトル』の続編だ。本作はユービーアイソフトが開発し、日本では任天堂が販売元を務め、2022年12月にNintendo Switch向けに発売された。
本作の世界では、突然現れた悪の生命体クルサにより、惑星が次々に闇に乗っ取られた状態にある。クルサの狙いは、不思議な生命体スパークスがもつ強力なエネルギーだとされており、マリオとラビッツたちは、宇宙に平和を取り戻すためさまざまな惑星を巡る冒険に出る。さまざまな環境のステージが用意され、フィールドを探索するなかで敵に遭遇するとバトルに突入。3人1組で戦うターン制戦略バトルが採用され、キャラクター固有のブキやスペシャルスキルなどを駆使して戦うのだ。
本作は、2022年のThe Game AwardsでBEST SIM/STRATEGYを受賞するなど高い評価を獲得。一方で、売り上げ面ではあまり振るわなかったようで、ユービーアイソフトは今年1月、2022年最終週から2023年1月上旬にかけての本作の売り上げは予測を下回っているとし、驚きをもって受け止めていると報告していた。ちなみに前作『マリオ+ラビッツ キングダムバトル』に関しては、今回の海外メディアGamesIndustry.bizのインタビュー記事にて、プレイヤー数が1000万人を超えていると報告されており、大きなヒットを記録していたようだ。
インタビューに答えたユービーアイソフトのCEO Yves Guillemot氏は本作の不振について、昨今の世界経済の状況が消費者の購買意欲にマイナスの影響を与えた可能性があるとしたうえで、また別の問題も存在したと述べる。それは、同じプラットフォームにて同じようなゲーム体験の作品を2つリリースしたことだそうだ。
Guillemot氏によると、そうした作品のリリースは1ハード1作品にとどめた方が良いとのアドバイスを、任天堂から受けていたという。つまり、前作『マリオ+ラビッツ キングダムバトル』をNintendo Switch向けに発売したため、本作『マリオ+ラビッツ ギャラクシーバトル』は未発表の次世代機向けにすべきだという趣旨の提案だろう。
ユービーアイソフトとしては、本作を任天堂の次世代機へと引き継ぐかたちでアップデートを続けることで、10年はユーザーに楽しんでもらえると考えていたそうだ。ただ結果的に、Guillemot氏は本作の発売を少し急ぎすぎたとし、次世代機の登場を待つべきだったと振り返っている。
なお、任天堂の代表取締役社⻑・古川俊太郎氏は今年5月に開催された2023年3月期決算説明会の質疑応答にて、Nintendo Switchの後継となる次世代機について言及している。それによると任天堂では、新しいユニークな娯楽を提供していくために、どういった面白い提案ができるかを常に考えて将来に向けたさまざまな開発を進めているとのこと。また、どのように次のハードウェアに移行していくかは、これからの非常に重要な課題になると捉えているそうだ。ただ現段階では、Nintendo Switchの稼働をしっかりと維持・拡大し、ビジネスの勢いを維持することが最優先事項だと考えているとのことである。
『マリオ+ラビッツ ギャラクシーバトル』は、Nintendo Switch向けに発売中だ。