Steam Deckなどの“振動技術”を巡り、Valveが訴えられる。米国企業が特許権の侵害を主張
Valveが、Steam Deckなどに搭載された振動機能の技術を巡って、特許権を侵害しているとして提訴された。海外メディアThe Vergeなどが5月17日に報じている。
訴訟の原告は、米国に本拠を置く企業Immersion Corporation(以下、Immersion)だ。同社は触覚フィードバックの技術を有しており、その技術はモバイル機器や自動車、そしてゲームなど幅広い分野で利用されている。ゲーム向けとしては、コントローラーに内蔵された振動機能をイメージすると分かりやすい。
今回Immersionは、米国ワシントン州西部地区連邦地方裁判所にてValveを相手取り提訴。訴状によるとImmersionは、携帯型ゲーミングPCであるSteam Deckや、VRデバイスのValve Index、SteamVRソフトウェアなどにおいて、同社が保有する触覚フィードバックに関する計7件の特許を、Valveが侵害していると主張。Immersionは、損害賠償金およびロイヤリティの支払いと、指摘したデバイスなどの展開や運用、保守、テストの差し止めを請求した。
たとえばSteam Deckでは、左右のタッチパッドの裏側に振動デバイスが搭載されている(以下の画像参照)。コントローラー製品によくみられるモーターで錘を回転させる方式ではなく、電磁誘導の原理をもとにしたリニアレゾナンスアクチュエータと呼ばれる振動デバイスが採用されている模様。Valve Indexのコントローラーにも同様の振動デバイスが搭載されている。そうしたデバイスおよび制御ソフトウェアに特許技術が含まれており、Valveは無断で使用しているというのがImmersionの主張なのだろう。
Immersionの技術はゲーム分野にて幅広く利用されており、たとえばNintendo SwitchのJoy-Conなどに搭載されているHD振動について、任天堂はImmersionとライセンス契約を結んでいる。ソフトウェア側においても、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』などの「知的財産の表記」を確認すれば、同ライセンス契約についての表記を見ることができる。
ソニーとマイクロソフトも同じくライセンス契約を結んでいるが、両社は2002年にImmersionから特許権を侵害しているとして訴えられ、和解したという経緯がある。Immersionはそうした訴訟をたびたび起こしており、昨年にはVRデバイスMeta Questなどを展開するMeta Platforms(旧Facebook)を相手取り提訴。そして今回、Valveに対しても訴訟を起こすこととなった。現時点では、本件についてImmersionもValveも公にはコメントしていない。Steam Deckの販売が拡大されているなか、今後この訴訟がどのような展開をみせるのか注目されそうだ。