大人気石器時代生活ゲーム『Roots of Pacha』Steamから突如削除される。好調スタートを切ったのに、開発元と販売元がモメる

 

デベロッパーのSoda DenとパブリッシャーのCrytivoは5月14日、『Roots of Pacha』に関する声明をそれぞれTwitterに投稿した。両者の間で、本作の権利を巡った争いが発生しているとのこと。これによって現在Steamでは、本作のストアページが削除されている。


『Roots of Pacha』は石器時代を舞台にした、農業・生活シミュレーションゲームだ。プレイヤーはPachaという地域の村人として、集落を築いていくのが本作の目的となる。最初は狩猟や採取、農耕から始めて物資を集めながら生活していく。ゲームを進めていくと、水車小屋や金属加工など新たな発明が開放。そうして便利な道具や建造物をクラフトし、さらに文明を発展させていくのだ。

本作はデベロッパーのSoda DenとパブリッシャーのCrytivo より、PC(Steam)向けに4月26日にリリースされた。発売から数日後のSteamユーザーレビューでは、305件中90%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得(関連記事)。同時接続プレイヤー数も平均約2600人で推移するなど、好調なスタートを見せていた(SteamDB)。しかし、そんな本作のSteamストアページが日本時間5月13日頃、突然削除されてしまった。Soda DenとCrytivoがTwitterに投稿した声明によると、両者間での争いが原因となっているようだ。

事情の一端が明らかになったのは日本時間5月14日昼12時の、Twitterの本作公式アカウントによる投稿だ。同アカウントは、本作のSteamストアページへ接続できない問題について調査中であると投稿。本作ストアページの削除は、開発側にとっても急なものだったようだ。そしてこの数時間後、同アカウント上に開発元Soda Den名義としての声明が投稿された。

同声明上で、Soda DenはパブリッシャーのCrytivoと『Roots of Pacha』の権利を巡って争っていると発表した。同スタジオ側は友好的に解決できるよう努力したが、Crytivo側はSteamを運営するValveへ働きかけたと説明。CrytivoがValveに対して、開発側であるSoda Denの同意なしにSteamから本作を削除することを許可したというのが同スタジオによる主張だ。

一方で、名指しされた販売側のCrytivoも反論の声明を出した。上述のSoda Denによる投稿の数時間後に、Crytivoからも声明がTwitterに投稿されている。その中でCrytivoはSoda Den側に問題があると説明している。声明によると、Crytivoはパブリッシャーとして3年にも及んで本作の開発に協力してきたとのこと。しかし、本作のリリース日から2日後にSoda Den側から契約の取り消しを求める連絡がきたという。Soda Denは開発協力の労力や合意済みの契約条件を無視して、一方的に契約の取り消しを求めてきたというのが、Crytivoによる主張だ。

またCrytivoは、本作ストアページの削除はValveのポリシーによるものだと説明している。これによると当事者間で争いが発生した場合、それが解決するまでストアページは削除されたままのようだ。つまり、同社の故意によるストアページ削除ではないとの主張だろう。

両者の主張では、お互いの主張が大きく食い違っている。しかし、声明ではどちらも『Roots of Pacha』の削除を望んでおらず、Steamストアページ復活を目指す姿勢を見せていることが分かる。Soda Den側の声明によると、同スタジオは争いの中でも開発に取り組み続け、本作がSteamにすぐに戻ってくることを「慎重に楽観視」しているという。一方のCrytivoも同社声明にて、「この問題を解決し本作がSteamに戻るよう取り組んでいるので、安心してください」との旨を述べている。

本作はリリースから1か月も経っていないうちに、ストアページが削除され、新たに購入することが不可能になってしまった。好評であったがゆえに、本作に触れる機会が奪われることはゲーマーにとって損失となるだろう。しかしどちらも姿勢としては、作品の再販売を望んでいる。Soda DenおよびCrytivo争いになんらかの決着がつき、本作の再リリースに向けて問題が解決されることが期待されるだろう。なお、Crytivoはこの騒動の今後の経過について今後情報共有していくとのこと。そして、開発元Soda Denは本作アップデートロードマップについて準備中であり、来月公開予定だとしている。