日本の公正取引委員会は3月28日、マイクロソフトによるActivision Blizzardの買収・統合計画についての審査結果を公表。両社の統合が、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるとはいえないと認め、排除措置命令をおこなわないと結論づけた。すなわち、独占禁止法上の問題はないと判断したとのこと。
本件については、マイクロソフトとActivision Blizzardの当事会社グループより、独占禁止法の規定に基づく株式取得および合併に関する計画届出書が提出され、公正取引委員会が昨年より第三者からの情報・意見の募集や審査を進めていた。
今回公正取引委員会は、マイクロソフトとActivision Blizzardが統合した場合に、競争に大きな影響が生じる可能性がある領域として、他社ゲームコンソールおよびクラウドゲーミングサービスへのゲームの提供拒否などを挙げ、関連する市場における競争を実質的に制限することとなるかについて審査を実施。審査結果報告書では、2021年におけるマイクロソフトおよびActivision Blizzardの分野ごとの市場シェアがデータとして提示。そのうえで、競争の実質的な制限や、市場の閉鎖性・排他性の問題が生じる可能性などについて精査され、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるとはいえないとの判断が示された。詳細は公開されたレポートを確認してほしい。
マイクロソフトによるActivision Blizzard買収については、反トラスト法(独占禁止法)違反の恐れがないかなどについて、各国の規制当局による審査が進められている。日本では公正取引委員会が審査をおこない、今回問題なしと判断された格好だ。
ちなみに、一部の国での審査においては、『Call of Duty』シリーズを名指ししてその独占化に懸念が示されることもあった(マイクロソフトは否定)。今回の公正取引委員会の審査においても、世界的人気タイトルとして同シリーズに言及されたが、日本ではより人気の高いゲームが多数存在する状況にあるとして、特に懸念が示されることはなかった。
なお、マイクロソフトによるActivision Blizzard買収に関しては、特に大きな市場でもある米国、英国、EUでの審査がまだ通過していない。そうしたなか英国の当局は先日、同買収はゲームコンソール市場における競争を阻害するものではないと暫定的に報告(Windows Central)。まだクラウドゲーム市場に関しての審査が続いているものの、少なくとも英国では審査通過へ一歩前進したと受け止められている。