期待のダンジョンPvPvE『Dark and Darker』開発元、盗用疑惑で捜査受けるも「警察の捜査の影響まったくない」と主張。しかし現地メディアはこれを否定


『Dark and Darker』開発元のIRONMACEに対して韓国警察が捜査をおこない、開発関連資料を押収したことが報じられた。これを受けて同スタジオのスタッフは、本作公式Discordサーバー上でユーザーからの疑問に答える形で警察の捜査による影響について回答した。同スタッフは、捜査は短時間で終了し、発見されたものはなかったと主張している一方、一部現地メディアはスタッフの発言を否定する報道をおこなっている。


『Dark and Darker』は、ローグライクとPvPvE要素が特徴のダンジョンクロウラー型探索ゲームだ。開発は韓国のスタジオIRONMACEが手がけている。プレイヤーは1〜3人のパーティにて、敵NPCやほかのプレイヤーたちが蔓延るダンジョンに挑む。危険を退け、宝を回収しながら脱出用のポータルから帰還するのが目的となる。これまで4回にわたってプレイテストが実施されており、最大同時接続プレイヤー数は約10万8000人を記録(SteamDB)。プレイテスト段階ですでに大きな注目を集めている作品といえる。


一方で、同作は開発に対する懸念も生じている。というのも、IRONMACEの一部スタッフに対しては、韓国警察が不正競争防止法違反の疑いで捜査をおこなっていることが報じられているからだ。本捜査は、ネクソンの告訴状に基づいておこなわれているという。告訴状では、IRONMACEがネクソンの未発売作品の情報を無断で抜き出し、本作『Dark and Darker』の開発に用いているとの主張がなされているとのこと。なお本件の捜査は2022年8月に現地の検察に引き渡されたものの、その後IRONMACEが『Dark and Darker』のさらなるプレイテストを実施。状況が変わったことで検察が追加の捜査を要求したとされている。

そうした報道を受けて、2月18日には開発元スタッフのTerence氏が本作公式Discordサーバー上でユーザーに向けて声明を発表していた。同氏は、『Dark and Darker』の開発に盗用されたコードやリソースは一切使用していないと強調。さらにアセットやゲームデザインにおける資料はすべて社内で制作されており、すでに外部機関による監査を受けていると主張していた(関連記事)。

こうした状況の中、3月8日に韓国の聯合ニュースが、IRONMACEのオフィスに対する強制捜査がおこなわれ、開発関連資料が押収されたと報道した。この報道をめぐり、『Dark and Darker』の公式Discordサーバー上では、実際に事務所に踏み込む捜査があったのかどうか、開発への影響を心配するユーザーから質問が複数投げかけられた。

こうしたユーザーからの問いに対しては、IRONMACEのスタッフGraysun氏が返答している。同氏は警察による捜査はおこなわれたが、捜査は短時間で終了し発見されたものはなかったと主張。さらにGraysun氏は「ネクソンとの問題について、あまり深刻に捉えないでほしい。インターネット上のほとんどの情報は不正確だ。開発に遅れはなく、まったく心配する必要はない」と回答している。なお本作公式Twitterアカウントは、このDiscordサーバー上の回答を、開発者メッセージとして引用している。

一方一部の韓国メディアは、IRONMACEのこの主張に対し、異を唱えている。Insight Koreaによると、今回の捜査を担当した京畿南部地方警察庁に問い合わせたところ、押収捜査を通じて関連資料を確保した状況であり、現在その資料に問題があるか調査中との回答が得られたという。また前出Insight Koreaによると、IRONMACEはメディアからの問い合わせに対する回答を一切拒否しているとのこと。現時点では情報が錯綜しており、開発スタッフの言うように「まったく心配する必要がない」かどうかは不明である。

なお本作公式Discordサーバー上では、本作の次回のプレイテストが4月14日から19日にかけておこなわれると発表されている。同サーバー内の一部ユーザーは本作の今後に懸念を示しているものの、Graysun氏は先述のとおり開発状況に影響はないと返答しており、プレイテスト実施を含め開発元の今後の動向が注目される。