ソ連FPS『Atomic Heart』のサウンドトラック制作者、楽曲提供報酬をすべてウクライナに寄付

 

発売を間近に控えるアクションRPG『Atomic Heart』。本作のサウンドトラックを手がけた作曲家Mick Gordon氏は2月14日、本作への楽曲提供により受け取った報酬を、ウクライナ人道危機救援金として全額寄付したことを明らかにした。

Gordon氏は、オーストラリア在住の作曲家だ。ゲーム作品への楽曲提供を中心に活動するベテランであり、これまでには『Destroy All Humans! 2』や『Killer Instinct(2013)』『Need for Speed』シリーズなど数多くの作品に参加。近年は、『Wolfenstein』シリーズや『DOOM』などBethesdaタイトルでの活躍で知られ、多彩なスタイルを披露するなかでも、ヘヴィなギターリフが轟くアグレッシブなサウンドが人気である。

*The Game Awards 2016でのMick Gordon氏の『DOOM』ライブパフォーマンス

Mick Gordon氏によると、2020年4月に『Atomic Heart』の開発元Mundfishから、本作の楽曲制作の仕事を依頼されたという。同氏はソビエト時代のシンセサイザー製品を好んでおり、本作がもつ独特な美的感覚との組み合わせは、クリエイティブ面での素晴らしい機会であったと振り返る。

その一方で同氏は、昨年2月から続くロシアによるウクライナへの軍事侵攻にも言及。戦争はウクライナ国民に計り知れない苦難を与えており、世界はウクライナと連帯し、プーチン大統領の軍による侵略を止めさせなければならないと訴える。

そして、本作での仕事の報酬を、オーストラリア赤十字を通じてウクライナ人道危機救援金として寄付し、戦争で被害を受けた人たちを支援すると表明。Gordon氏は、自らの作品により困っている人たちを助けることができ、ポジティブな影響を与えられることを誇りに思うとした。また、余裕があるならば皆も寄付を検討してほしいと呼びかけた。

ゲーム業界においては、幅広い企業がさまざまなかたちでウクライナへの支援に乗り出している。なかには、『SMITE』や『Divine Knockout』などで知られるHi-Rez Studiosのように、ロシア国内での収益を寄付に当てる動きもみられる。

『Atomic Heart』は、架空のソビエト連邦を舞台にする作品だ。また、開発元のMundfishはキプロス共和国に本拠を置いているが、もともとロシアに所縁があるスタジオである(関連記事)。今回Mick Gordon氏は明言はしていないが、参加作品のこうした背景を受けて、ウクライナに寄付金を送る良い機会だと判断したのかもしれない。報酬をすべて寄付するという行動には、ファンから多くの称賛の声が寄せられている。

『Atomic Heart』は、1955年の架空のソビエト連邦を舞台にするアクションRPG。プレイヤーは軍の秘密施設や研究所に潜入し、人類に反旗を翻したロボットや、実験で生み出されたミュータントと戦う。なお国内販売元のBeep Japanからは、少なくともPS4/PS5版はCERO:Zレーティングを取得し、一部残虐表現の変更がおこなわれることが案内されている。

『Atomic Heart』は、PC(Steam)/Xbox One/Xbox Series X|S向けダウンロード版が2月21日に、PS4/PS5向けダウンロード・パッケージ版が4月13日に発売予定だ。ゲーム内は日本語字幕・吹替に対応する。