ソ連FPS『Atomic Heart』は“ロシア政府に情報提供”をしていない。開発元が否定し、問題のストアは閉鎖


アクションRPG『Atomic Heart』を手がけるデベロッパーMundfishがロシア国内向けに公開していた公式ストアにおいて、ユーザーの個人情報が収集され、その情報がロシア政府機関に提供される可能性について報じられ、同スタジオが否定している。

『Atomic Heart』は、1955年の架空のソビエト連邦を舞台にした一人称視点アクションRPGだ。プレイヤーは極秘任務を託されたエージェントP-3となり、軍の秘密施設や研究所に潜入。人類に反旗を翻したロボットや、実験で生み出されたミュータントに対し、銃や近接武器、また試作型パワーグローブによるスキルなどを駆使して立ち向かう。本作は、国内外のゲーマーから大きな注目を集めている作品のひとつである。


開発元Mundfishは公式サイトにて、本作のアパレルや雑貨などのグッズを販売するストアを運営。海外メディアAIN.Capitalは、ロシア向けの同ストアに掲載されたプライバシーポリシーに注目し、英語版にはない記述がみられるとして、警鐘を鳴らす報道を今年1月25日におこなった。それによるとロシア語版プライバシーポリシーには、ストア利用者の情報を収集し、連邦保安庁や税務当局などのロシア政府機関に提供する場合があると記載されていたという。また、ユーザー情報の使用目的や情報収集の法的根拠も記載され、そのなかでは軍事目的での国民動員に関する法律ついて言及されていたとのこと。現在はストアページごと削除されているが、掲載時のWebアーカイブを確認すると該当すると思しき記述がみられる。

この報道を受けてMundfishは、海外メディアGamesRadar+を通じて声明を発表。ロシア向け公式ストアに掲載していたプライバシーポリシーは、情報が古く誤った内容であったとし、実際にはいかなる情報も収集していないとした。また問題のプライバシーポリシーは、数年前に削除されているはずだったとも述べている。そして、同スタジオとその製品においてファンに対し誠実であることを示すため、ストアを閉鎖したとのこと。同スタジオは、混乱を招いたとして謝罪している。

同スタジオはキプロス共和国に本拠を置いているが、設立者がロシア出身のクリエイターであるなど、もともとロシアに所縁があることで知られる。また前出のAIN.Capitalは、同スタジオの法的な所在地がモスクワにあると、問題のプライバシーポリシーに記載されていたことについても指摘している。ロシアというと、ウクライナへの軍事侵攻を続けていることもあり、先述した情報収集やその法的根拠はファンの不安を誘う。結果的には、同スタジオによれば不安視されるような活動はおこなっていないとのことである。

なお、『Atomic Heart』は1月26日に開発完了が報告された。本作はPC(Steam)/Xbox One/Xbox Series X|S向けダウンロード版が年2月21日に、PS4/PS5向けダウンロード・パッケージ版が4月13日に発売予定。弊誌では、本作の先行プレイ記事を掲載しているため、興味のある方はチェックしてほしい。