Nintendo SwitchのJoy-Con向けに、“ドリフト対策済”うたう非公式スティックパーツが発表。純正とは別方式のホールセンサー採用がじわり広がる


ゲーム周辺機器メーカーのGuliKitは1月17日、Nintendo SwitchのJoy-Con用アナログスティックパーツ「Hall Joystick for Joy-Con」の情報を公開した。本製品は、Joy-Conのいわゆる“ドリフト問題”への対策が施されているという。


Hall Joystickは、Joy-Conに搭載されたアナログスティックの交換用パーツだ。なお、任天堂公認の製品ではない。GuliKit公式サイトの説明によると、スティックのキャップ部分が簡単に交換可能になっており、また純正スティック消費電力から半減に相当するという省電力設計が採用。そしてプレイヤーのスティック操作の検出に、ホールセンサー(ホール素子)を採用していることが大きな特徴となる。

ホールセンサーとは、搭載された磁石により、スティック操作にて発生する磁界の変化を測定する電子部品だ。Joy-Conの純正アナログスティックは、内部の金属製ブラシパーツが導電性のパッドに接触することで操作の情報を伝える仕組みとなっている。一方ホールセンサーでは、パーツの物理的な接触を伴わないことから、ドリフトの発生防止に効果的だという。GuliKitも、ドリフトを防ぐ(anti stick drift)と説明している。

Joy-Conのドリフトとは、アナログスティックに触れていないのに、勝手にスティック操作がおこなわれる不具合のこと。Joy-Con特有の問題というわけではないが、これまでには製品の欠陥であると主張して、任天堂を相手取った集団訴訟にも発展。そして一部の裁判では原告側が、パーツ内部に侵入したホコリや磨耗によって発生した粉などが、上述したブラシパーツに付着することがドリフトの原因であると指摘している(関連記事)。


GuliKitは、スタッフが実際にドリフトの不具合を経験したことをきっかけに、問題を解決できるアナログスティックの開発に乗り出したという。そして、さまざまなタイプのセンサーを検証し、製品寿命やコスト、量産性なども検討した結果、現在の技術においてはホールセンサーが最適だという結果にたどり着いたそうだ。その後、オリジナルのホールセンサー搭載アナログスティックの開発に投資し、特許も取得してきたとのこと。同社はこれまでに、ホールセンサーを採用したNintendo Switch用コントローラーや、Steam Deck用のアナログスティックモジュールなどを発売している。

実は近年、さまざまなメーカーにおいてアナログスティックにホールセンサーを導入する動きがみられる。たとえば、Nintendo Switch用コントローラーを中心に展開している8BitDoやNYXI、携帯型PCゲーム機AYANEOシリーズなど。一部の製品紹介では「ドリフトしない」あるいは「ドリフトしにくい」と謳われている。ホールセンサー自体は新しい技術ではないが、Joy-Conのドリフト問題が注目を集めるなかで、各社がホールセンサー導入により対策をしているとアピールするようになったようだ。

なお、先述したようにGuliKitの「Hall Joystick for Joy-Con」は任天堂公認の交換パーツではない。もしJoy-Conのアナログスティックに不具合が発生した場合は、任天堂サポートに修理を依頼することが最善。自力で分解修理することは、保証が切れることを含め自己責任となることに注意してほしい。