国内最大級のRTAイベント「RTA in Japan 2022 Winter」にて12月28日、アクションゲーム『Pogostuck: Rage With Your Friends』のRTAがおこなわれた。RTAプレイヤーのぷちさん氏がプレイし、解説をのきあ氏が担当。3つのマップのスピードクリアを目指すAll mapsのカテゴリの挑戦中、同作開発者に見守られルートを変更するというほっこりな出来事が発生した。
『Pogostuck: Rage With Your Friends』は、高難度のアクションゲームだ。プレイヤーはホッピングに乗ったキャラクターを操作し、さまざまな障害が待ち受けるマップでゴールを目指す。マップのギミックは多彩で、ただホッピングでジャンプするだけでは登れないような地形も存在。自身でルートを考え、自分の技量と相談しながら、マップ上部に存在するゴールへと進んでいく。しかし、失敗すれば落下して大幅に後退させられてしまう場所も存在するため、慎重なプレイングが必要になるゲームだ。なお、本作はその高難度で知られるタイトルで、“ポゴ”の愛称で親しまれている。
珍事が起きたのは、『Pogostuck: Rage With Your Friends』の1つ目のマップ「Rage With Your Friends」の後半にある卵地帯だ。この箇所には転がして移動させることができる卵が設置されている。この卵を少しずつ移動させて、その先の壁を乗り越えるための足場にするのが一般的な解法だ。だがクリアまでの時間を競うRTAにおいて、普通は違った手法をとるようで、この卵を使用しないとのこと。しかし、プレイヤーのぷちさん氏は、今回のRTAで卵を利用する手法を採用。解説ののきあ氏の疑問の声に、ぷちさん氏は「このゲームの作者さんが見てるんだよ!」と発言した。その後ののきあ氏の話によれば、本作の開発者であるSuperku氏がおそらく見ているとのことで、Twitterでは応援のメッセージが投稿されていた。
しかし、のきあ氏によると「今日は卵の機嫌が悪い」ようで、卵を壁の前に移動させるのにぷちさん氏が苦戦。緊張もあったのだろう。何とか壁の前に卵を移動させるものの、ジャンプに失敗して卵が明後日の方向へと飛んでいってしまった揚げ句に、壁の上に登ることにも失敗してしまう。
そして、諦めずにもう一度卵を運ぶのかと思いきや、ぷちさん氏は壁の前でキャラクターの体を地面に対して水平にして着地する、奇妙なジャンプをし始める。『Pogostuck: Rage With Your Friends』では、基本的に落ちた高さと同等の高さにしかジャンプができないようになっている。しかし、この奇妙なジャンプをおこなうと、ジャンプの高度は少しずつ上昇。その結果、卵なしで壁の上へと到達してしまった。その際、リアルタイム、あるいはアーカイブで視聴するかもしれないSuperku氏に向けてか、ぷちさん氏は「目をつぶっていてください」と発言していた。
その後、ぷちさん氏は難解なマップに苦戦するシーンを見せつつも、全3マップを16分52秒で攻略。Speedrun.com上で同氏のもつ世界2位の記録12分30秒93には及ばないものの、全体を通してスムーズなプレイで高難易度ゲームのAll mapカテゴリを完走した。なお、開発者が見ていると言いつつも、開発者が想定していないであろう高難易度ルートの攻略が連発されている。また、そのスーパープレイにオフライン会場も歓声が上がり、時には笑いも起こる盛り上がりを見せていた。開発者のSuperku氏が想定したルートであるかはさておき、そのキャラクターコントロールは一見の価値ありだ。
ちなみに、「RTA in Japan」において開発者が見ているというケースは少なくない。「RTA in Japan Summer 2022」でRTAが披露され、タイトル変更に至った『NINJASLAYER : AREA4643』(関連記事)が記憶に新しい。「RTA in Japan Winter 2022」に参加した『不思議な夢の海のとばり』では、RTAプレイヤーのsomo氏が会場でプレイする横で、同作開発者のですNO氏が解説として参加。RTAを解説しながら、ゲームの細かい仕様についての説明もおこなっていた。インディー作品以外でも、過去に開発者がSNSで好意的にコメントしたケースも多々ある。本イベントの注目度の高さの表れだろう。
「RTA in Japan Winter 2022」は、12月31日まで開催。本イベントでは、スピードクリアを軸に、スーパープレイから面白いプレイまで、さまざまなゲームの遊び方を見ることができる。気になる方は同イベントスケジュールもチェックしてほしい。