Nintendo Switchの“Joy-Conドリフト”問題について、英国消費者団体が構造的な欠陥の可能性を指摘。任天堂に完全無償修理などを要求

イギリスの消費者団体Which?は12月20日、Nintendo Switch用コントローラーであるJoy-Conについて、いわゆるドリフトを引き起こす構造的な欠陥が存在する可能性があるとの研究結果を発表した。

イギリスの消費者団体Which?は12月20日、Nintendo Switch用コントローラーであるJoy-Conについて、いわゆるドリフトを引き起こす構造的な欠陥が存在する可能性があるとの研究結果を発表した。

Joy-Conのドリフトとは、アナログスティックに触れていないのに勝手に入力がおこなわれる、以下の映像のような現象のこと。内部パーツの何らかの不具合が原因だと考えられている。


今回Which?は、2017年から2019年に購入され、その後ドリフトの症状が発生した5組のJoy-Conについて消費者から提供を受け、研究機関にて調査を実施。主に左側のJoy-Conのアナログスティックにてドリフト症状が発生しており、分解して原因を探ったそうだ。

報告では、スティック部分には防塵カバーが存在するものの、内部には埃などが付着しており保護が不十分であると指摘。また、すべてのプラスチック基板において、スティックの操作を検知する接触部分に磨耗が確認されたとのこと。それぞれのJoy-Conには構造にやや違いがあるものの、こうした埃などの侵入や接触部分の磨耗は共通して発生しており、構造的な問題がドリフトの原因である可能性があるとしている。

操作検知部分の磨耗については、以前アメリカで提起された集団訴訟のなかでも指摘されていた。Joy-Conのスティック入力は、金属製のブラシパーツが導電性のパッドに接触することで信号を伝える仕組みになっている。当時原告は電子顕微鏡写真を添えて、各パーツの表面硬度の違いから導電性パッドが摩耗し、電気抵抗が変化すると指摘。さらに、削れて発生した粉がブラシに付着することでパッドの摩耗を悪化させているとし、製品の欠陥を主張していた(関連記事)。


Which?は、今回の調査結果を受けての任天堂のコメントも紹介している。それによると同社は、アナログスティックに問題があると過去に報告されたJoy-Conの割合は少ないとしながら、2017年のローンチ以来継続的に改良を続けていると回答。また、設計どおりに動作しない場合は、保証期間が過ぎていたとしても寛大に解決するとし、サポートに連絡することを勧めているとした。

なお、Which?が今年5月に実施した調査によると、イギリスのNintendo Switch所有者の40%がドリフトの症状を経験しているとのこと。また、ドリフトが発生し任天堂サポートに連絡した人の79%が無償での修理もしくは交換対応を受けることができ、19%はそうした対応を受けられなかったとも報告されている。

そしてWhich?は任天堂に対し、Joy-Conのドリフトの原因について独立機関に調査を依頼し結果を公表することや、イギリスで販売されドリフトが発生したすべてのJoy-Conの無償修理・交換を約束すること、ドリフトにより代替品を購入したことを証明できる消費者に補償あるいは返金すること、そしてこれらの対応を広く告知することを求めた。


Joy-Conのドリフト問題については、Nintendo Switchのローンチ以来一部ユーザーから報告されており、任天堂代表取締役社⻑の古川俊太郎氏は2020年6月の定時株主総会の場にて、「お客様にご迷惑をおかけしていることをお詫び申しあげます」と謝罪。また米国任天堂社長のDoug Bowser氏が、改善に向けて取り組んでいることについて言及したこともあった(関連記事)。しかし今回また消費者団体から指摘されることとなり、根深い問題であることがうかがえる。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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