『フォートナイト』の“中毒性”をめぐり、Epic Gamesを相手取った集団訴訟が進展。怒れる親たちと、争う構えのEpic Games
バトルロイヤルゲーム『フォートナイト』について、開発・運営元のEpic Gamesに対する、いわゆる集団訴訟に進展があったとして注目が集まっている。訴訟が提起されたカナダの地元メディアCTV Newsなどが12月9日に報じている。
ことの発端は2019年10月まで遡る。子供が『フォートナイト』への依存症になってしまったという親の訴えを受けて、カナダ・モントリオールの法律事務所がEpic Gamesの責任を問うクラスアクション(集団代表訴訟)を提起(関連記事)。そしてこのたびケベック州上級裁判所が、同訴訟のクラスを承認したとのこと。つまり審理に進む運びとなった。
同訴訟では、子を持つ3組の親がクラスの代表者となりEpic Gamesを提訴。訴えによると、ある子供は2年に満たない期間で7781時間以上『フォートナイト』をプレイし、別の子供は親の知らぬところで本作の少額課金に数百ドルを費やしたという。また、空き時間のほぼすべてを本作のプレイに費やし、時に食事やシャワー、人付き合いまで欠くようになり、ゲームに起因する“プレッシャー”ゆえにPanic attack(パニック発作/恐怖や動悸・目眩などを伴う発作)を起こす子供もいるとのこと。そして本作について、非常に中毒的(highly addictive)であり、未成年の子供を精神的・肉体的・経済的な被害に晒すものであると主張している。
また原告は訴えのなかで、WHO(世界保健機関)が2018年に“ゲーム障害”を国際疾病に認定したことや、中毒に関する専門家Anita Ghadia-Smith氏による、『フォートナイト』の中毒性をコカイン中毒に例えた報告書にも言及。開発元Epic Gamesは、本作の中毒性を消費者に周知するべきであるとした。
こうした訴えに対し裁判所は、『フォートナイト』が中毒性のあるゲームとして意図的に制作されたかどうかについては判断を避けつつ、実際に中毒性があると制作・販売者が認識していた可能性を排除することはできないと指摘。原告が被告に対して、ケベック州の民法に照らして製造物責任を問うことは可能であるとし、同訴訟のクラスを承認した。
同訴訟についてEpic Gamesは、海外メディアPC Gamerを通じて声明を発表した。そのなかで同社は、自社プラットフォームにて業界最先端のペアレンタルコントロール機能を提供しているとコメント。保護者が子供の毎週のプレイ時間を確認したり、課金時に親の承認を必須としたり、あるいは13歳未満の子供の課金額に制限を設けたりといったことが可能であると指摘している。そのうえで、本件については法廷で争い、証拠をもって無意味な訴訟であることを示すつもりであるとした。
カナダでの今回の訴訟の今後については、Epic Games側は30日以内であれば、今回の承認について異議申し立ての機会が与えられるとのこと。申し立てがなければ、そのまま審理での争いに移っていくことになりそうだ。また原告側は、Epic Gamesに請求する損害賠償金額を後日決定するとしている。一般的にクラスアクションにてクラスが承認された場合、被告側は和解に持ち込むことが多いようであるが、Epic Gamesは争う姿勢を見せており今後の展開が注目される。