開発者Lucas Pope氏は『Papers, Please』PC版のゲームエンジンをUnityに変更したと発表した。ゲームとしての変化は大きくないながらも、大きな変化になるという。
『Papers, Please』は、入国審査シミュレーションゲーム。プレイヤーは架空の共産主義国家「アルストツカ」にて入国者を審査する管理官となり、提出された申請書類が正しいかをチェックしていく。入国者を審査するという独自のコンセプトを遊びに落とし込んだゲームデザインや、仕事の手際や入国者を通すかどうかの判断で幅広く分岐するシナリオが好評を博した。Steamでは5万件弱のレビューが集まり評価は「圧倒的に好評」。大ヒットゲームとなった。
『Papers, Please』は最近になり、モバイル向けに移植されていた。Pope氏は、その際に同作のゲームエンジンをOpenFLからUnityに変更。あわせて、PC版についてもUnityに移行しているという。Steamではベータ版が配信されており、新エンジンで再構築された『Papers, Please』を体験できる。
バージョンとしては、1.2.76から1.4.4へとアップグレードされる。ただし、コンテンツなどは追加されない。バグを修正したり、垂直同期の無効化や画面拡大の有効化用コマンドラインスイッチを追加したり、韓国語/トルコ語/チェコ語の公式翻訳を追加したりと、変更は微細に留まる。あくまでゲームエンジンが変わったというだけのようだ。一方でベータ版はまだ十分テストされていないということで、実績やリーダーボード、ゲーム進行などは引き継ぎ失敗もしくは喪失のおそれあり。ベータ版をさわるにあたっては、セーブデータのバックアップをとることが推奨されている。
Pope氏は、2018年に発売された『Return of the Obra Dinn』の開発にあたり、ゲームエンジンとしてUnityを選択。同エンジンのファンになったようだ。オリジナルの『Papers, Please』は、言語としてはHaxeで、エンジンとしてはOpenFLを使用していた。モバイル版の移植にあたっては、UnityとC#を使おうとしたものの、Haxeの採用を決断。Haxeでコードを書き、C#にトランスパイルする(Heapsを併用)という方法でモバイル移植を進めていったようだ。モバイル版の移植には8か月もの時間がかかったという。無事Unity上で運用可能になったことから、PC版についても移行作業に入っているようだ。
前述したように、『Papers, Please』PC版はゲームエンジンが変更されただけ。コンテンツ追加などはなされていない。ただし、挙動面など含めてちょっとした変化は出ているようだ。正式に移行が完了すれば、入国審査を体験してみるのもいいだろう。
『Papers, Please』はPC向けに配信中。今年8月にはモバイル向けにも配信されている。