PS4/PS5の「トロフィー目当ての量産ゲーム」がPS Storeから排除の方針か。新ガイドラインが制定されたとの報道
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)がPlayStationプラットフォーム向けゲーム開発者に対し、いわゆるShovelware(低品質の量産作品など)をPlayStation Storeから排除する方針を伝えているようだ。海外メディアDEX.EXEが報じている。
近年のPS Storeにおいては、使用アセットだけを入れ替えて、まったく同じコンセプトの作品を量産し配信しているメーカーが複数存在する。それらの作品はほぼすべてにおいて、ゲームとも呼べないようなごくシンプルな内容であるという共通点がある。
たとえばThiGamesが手がけている『The Jumping』シリーズは、ボタンを押すと料理のイラストがジャンプし、その回数がカウントされるだけ。同社は、『The Jumping Burger』や『The Jumping Pizza』など、料理のイラストを変えては別作品として送り出し、さらにジャンプのスピードがより高速な“TURBO版”を、作品ごとに別途リリースしている。ほかにもGame Achievements Ltdは、『Stroke The Dog』『Stroke The Cat』など、動物のイラストを撫でる作品を配信中。撫でるとはいっても特に演出が存在するわけではなく、回数がカウントされるだけだ。
これらの作品では、ボタンを規定回数押すだけという極めて容易な条件かつ短時間でプラチナトロフィーを獲得可能。そのため一定の需要がある模様である。ただ、同種の作品が安易に量産されるShovelwareのような存在に対しては批判の声も聞かれる(関連記事)。
海外メディアDEX.EXEが入手した情報によると、SIEは「Spam and Duplicative Content(スパムおよび重複性コンテンツ)」と題した、PS Storeの新たなガイドラインについての案内を開発者宛に送付したとのこと。日付は今年11月21日と記載されている。
その冒頭でSIEは、PS Storeに同種のコンテンツの類似作品が大量に存在する場合、ストアにて作品を検索し探すユーザー、および作品を検索されるメーカーの体験に悪影響を及ぼす可能性があると指摘。そして、機能やアセットをコピーしている、あるいはそれらに有意な違いのない作品がPS Storeにて複数リリースされている場合、今後SIEはそれらをスパムのようなリリースであるとみなす、とした。
上述の対象作品をもつ開発者に対しては、類似する小規模なコンテンツを、ひとつの製品に集約することを検討すべきだとした。また、「各作品に異なるプラチナトロフィーを用意することは、十分な差別化とはいえない」とも言及。こうした説明から、先述した『The Jumping』シリーズなどの作品を念頭に置いたガイドライン更新であることがうかがえる。
そしてSIEは、このガイドラインに違反した作品に対しては、PS Storeでの検索対象からの除外や配信停止といった処分が下ると警告。また、複数回にわたって違反を繰り返した場合には、開発者アカウントの停止や取り消しをおこなうとした。
SIEはこれまでにも、トロフィー獲得目的作品に懸念を見せる動きをしてきた。“ボタンを押すだけでトロフィーを獲得できる”ことをうたった『Press X For Trophies』が配信中止になったり、同作の存在に注目が集まった直後、PS Storeで同種の作品が明らかに下位に表示されるようになったり。このSIEが開発者に送付したという新たなガイドラインが事実であれば、各メーカーは対応に追われそうだ。弊誌では本件について、関連メーカーにコメントを求めているところである。