カンフーアクション『Sifu』が、The Game Awards 2022の「Best Fighting」部門にノミネートされ議論を呼ぶ。“Fighting”ゲームなのか否か

ゲームの祭典「The Game Awards 2022」「Best Fighting」部門に『Sifu』がノミネートされたことについて注目が集まっている。この部門にノミネートされるのは異例の出来事。

ゲームの祭典「The Game Awards 2022」のノミネート作品が11月15日に発表された。ゲーム作品を対象とした各部門には、それぞれのジャンルにおける今年を代表するタイトルが並んでおり、現地時間12月8日に開催される同イベントでの受賞作品の発表に向けて、投票の受付が開始されている。

そんななか、「Best Fighting」部門に『Sifu』がノミネートされたことについて注目が集まっている。本作のゲームスタイルからすると、この部門にノミネートされるのは異例の出来事といえるからだ。


今年のBest Fighting部門には、上に掲載した5作品がノミネートされた。『DNF Duel』『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル R』『THE KING OF FIGHTERS XV』の3作品は、いずれも2.5Dスタイルの対戦格闘ゲーム。『MultiVersus』は日本では配信されておらず馴染みが薄い方もいるかもしれないが、ワーナー・ブラザース関連のキャラクターが多数登場する、『スマブラ』風の対戦格闘ゲームである。

『Sifu』はというと、カンフーによる近接格闘を楽しめるアクションゲームだ。ただし、ほかのプレイヤーとの対戦要素のないステージクリア型のシングルプレイゲームであり、上述したほかのノミネート作品とは明らかに毛色が異なる。そのため、Best Fighting部門へのノミネートは相応しいのか、SNS上では海外ゲーマーのあいだで疑問の声が多数上がっている。

The Game Awardsは2014年から毎年開催されており、第1回からBest Fighting部門が用意されている。これまでの同部門のノミネート作品を振り返ると、『ストリートファイター』シリーズに代表される2D/2.5D対戦格闘ゲームや、『鉄拳7』『ARMS』などの3D対戦格闘ゲーム、あるいは『スマブラ』シリーズのような対戦格闘ゲームに大きく分けられる。作品によってゲームスタイルはさまざまであるものの、少なくともほかのプレイヤーとの対戦要素が存在することは、すべての作品に共通していた。

では、なぜこの部門に『Sifu』がノミネートされたのだろうか。現時点でThe Game Awards側からは本件について特に説明はないが、実はBest Fighting部門についての定義はそれほど厳格ではない。公式サイトには、「近接格闘要素を中心にデザインされた最高のゲーム (For the best game designed primarily around head-to-head combat)」に与えられる賞であると説明されている。

『Sifu』は、主人公が復讐の闘いに挑むカンフーアクションゲーム。さまざまな技を駆使して敵との駆け引きをおこなう、迫力ある近接格闘システムが人気を博した。上述した定義に当てはめた場合、本作のゲームプレイが選考対象になってもおかしくはないように思えなくもない。なお、この定義文の内容は例年と同じである。

とはいえ、本作のBest Fighting部門へのノミネートに違和感を感じているゲーマーが多いことは事実。The Game Awardsでは、これまで対戦要素がメインの格闘ゲームだけがノミネートされてきたという歴史もあるだろうが、それ以前に「『Sifu』は“Fighting Game”ではなく、そもそもジャンルが違う」という見方をする人も少なくない。ほかのアワードを見渡しても、本作のようなアクションゲームが同様の部門にノミネートされることは異例だ。ちなみに、本作はBest Action Game部門にもノミネートされている。

The Game Awardsのノミネート作品は、審査員に選ばれた世界中の100を超えるメディア・インフルエンサーによる投票によって決定される。つまり『Sifu』のゲームプレイは、Best Action Game部門にとどまらず、Best Fighting部門にもノミネートされるべきだと考えた審査員が相当数いたということだろう。これから本作はほかの対戦格闘ゲームと票を競い、見事受賞にまで至るのかどうか注目されそうだ。

The Game Awards 2022は、現地時間12月8日に開催される。各部門のノミネート作品については、こちらの記事を参照してほしい。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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