ローグライトコロニーシム『Against the Storm』Steam版が好調な滑り出し。シティービルダーとローグライトの融合


パブリッシャーのHooded Horseは11月1日、基地建設ゲーム『Against the Storm』をSteam/GOG.com向けに早期アクセス配信開始した。日本語表示にも対応している。本作はEpic Gamesストア向けに昨年10月より配信済みで、このたびSteamとGOG.comでも早期アクセス配信が開始された。本作は両プラットフォームにて、さっそく多くのプレイヤーたちに支持されているようだ。


『Against the Storm』は、永久に雨が降り続けるファンタジー世界を舞台としたローグライト都市建設ゲーム。プレイヤーはスコーチ・クイーンなる女王に命じられた「総督」となり、入植者として荒野に送り込まれる。4種族が共存する新しい集落を作り、管理することになる。

本作では女王の怒りを買わないようにしつつ、臣民たる4種族たちを満足させる必要がある。種族は、人間、ビーバー、リザード、ハーピーの4種類。ビーバーは木を扱うのが得意、リザードは変温動物ゆえ温度変化に弱いなど、それぞれに得意なことや苦手な環境などがある。臣民たちの士気を高めたり、女王の指令に応えたりすることで、UI画面下部の青いバー(名声)が上昇してゆく。一方で赤いバーは女王の怒りのメーターだ。女王の意に沿えないとメーターが上昇、満ちるとゲームオーバーになる。そうなる前に、青いメーターを満たしてマップをクリアしなければならない。マップをクリアすると次なるマップを開拓することになる。


本作では、ローグライクの要素も取り入れられており、ランダム要素が採用されている。ゲーム途中で王国の中央から入植者や資源、新しい建造物、永続バフなどが送られてくるが、たいていの場合、二つの選択肢が提示され、選べるのはどちらか一方のみ。いわばデッキビルドのような要領で、入植地に必要なものを吟味して選んでいくことになる。プレイの舞台となる土地の資源分布などもリプレイごとに変わり、繰り返しプレイするたびに違った楽しみ方ができる。

Steamでは本稿執筆時点で500件以上のレビューが寄せられ、そのうち97%が好評であり、「非常に好評」のステータスを獲得している。Steamでの同時接続プレイヤー数は日に日に増えており、Steam版配信から5日目となる昨晩から今朝にかけては、4000人以上に達している(SteamDB)。新興スタジオの新規タイトルとしては破格の数字だ。

開発を手がけるEremite Gamesは、過去には、スマートフォンアプリ向けにターン制のストラテジーゲームを1作配信していたのみ。本作がPC向けとしては1作目にあたる。しかし、公式ホームページによると「AAA、インディー、モバイルゲーム開発で長年の経験を持つ5人の友人からなるチーム」とのことだ。その経験はアップデート頻度にも表れているだろう。同チームは、これまで先行して配信されていたEpic Gamesストア版において、2週間ごとにアップデートをリリースしてきた。アップデートの回数は現在までに27回を数え、Steamでの早期アクセス配信での運営にもこのアップデート頻度を引き継ぐとしている。Epic Gamesストアでのアップデートを重ねた状態でSteam版早期アクセスを開始したことが功を奏しているのかもしれない。


本作を肯定的に評価する理由として、シティービルダーとローグライトがよく組み合わさっている点を挙げるレビューは多い。本作ではコロニーシミュレーションにおける「立ち上がり」段階の内政を繰り返す。そこにローグライトな不確定さが襲い掛かる。さまざまな制約のもとで、ときに妥協しつつ、基地を作っていかねばならない。しかしただ開拓を繰り返すだけではない。各コロニー間の交易路を設定したり、王国中央の施設をアップグレードしたりして、一度作ったコロニーを部分的に活用することができるわけだ。このようなシステムが、総督としてのやりがいにつながっているのだろう。Eremite Gamesは自身のホームページで本作について、「記憶に残るような、ジャンルを定義するストラテジーゲーム・RPGゲームを作りたいという情熱が、私たちを結びつけた」と述べている。

『Against the Storm』はSteamおよびEpic GamesストアGOG.com向けに早期アクセス配信中。