「シムシティ」「シムズ」シリーズの生みの親ウィル・ライト氏の最新作『VOXverse』の概要が明らかに。ブロックチェーン技術を使用、NFTを売りたくはないと説明

 

ブロックチェーンゲームを手がけるGalaは20日、『シムシティ』『シムズ』シリーズの生みの親ウィル・ライト氏の最新作『VOXverse』についての動画を公開した。プロジェクト自体は去年の冬から発表されており、今月10月12日には配信も行われていた。今回公開された動画では、同氏がゲームの詳細な内容を説明している。

『VOXverse』はブロックチェーン技術を利用したメタバースゲーム。巨大なキューブ状の世界で、ボクセルキャラクターたちがさまざまな活動をできる。資源を採掘したり、土地区画を所有したり、出会った他のプレイヤーたちと交流したりして遊べるようだ。「他のGalaのゲームへのポータルがある」とされており、多くのメタバースプラットフォームと同様、一種のハブになるようである。なお、同氏はすでに『Proxi』というブロックチェーンを使ったゲームを開発中であるが、そちらとは別のプロジェクトとなる(関連記事)。


ゲームのアバターとして、VOXと呼ばれるアバターを持ち込むことができるとのこと。VOX自体はNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)であり、すでに存在するコンテンツ。Galaが運営している。なおNFTとは、改ざんや複製ができないデジタル証明書(トークン)で、ブロックチェーン技術を利用して作成・取引される。NFTに画像やゲーム内のアイテムを紐づけることも可能。本作では、VOXを持っていてもゲーム内では特に何もないが、自分だけのアバターとして使えることに価値があるようだ。また本作では、土地の購入もNFTによってなされる模様。

人間関係には、Liked、Trusted、Feared、Famousの4つのステータスがある。二人のVOXが初めて会うと、関係が構築される。関係には「良し悪し」と「強弱」の二つの軸がある。Social Graphと呼ばれる機能では、会ったことのあるVOXや強い関係を持つVOXが表示されるようだ。


ライト氏は、3タイプの人々を引き付けることを構想していると語っている。一つは、少数の裕福な「仮想地主」。暗号通貨で土地の区画の代金を支払い、土地を所有する。二つ目は、土地所有者に指名されて物を作り、作った物からの売り上げを分配されるクリエイティブな中間グループ。三つ目は、同作の世界の中で、無料で自由に遊び回る人々だ。


説明を聞くといかにも「Play to Earn」(プレイして稼ぐ)のモデルだが、同氏はAxiosの取材に対し「I don’t really want to be in the business of selling NFTs」(NFTを売るつもりはない)と述べており、あくまでブロックチェーンがプレイヤー間の安全な取引を可能にすることに関心があると強調した。本作では、VOXを持っていなくても遊べるらしい。GalaのEliot氏いわく、『VOXverse』のいくつかの側面は厳密に言えばNFTだが、ライト氏はゲームのデザインに焦点を合わせているとのことだ。ちなみに、VOXのホームページによるとGalaが提供している最新のVOXは、DreamWorksのTrollのキャラクターをベースにしており、値段は0.888イーサ。イーサは仮想通貨イーサリアムの通貨単位であり、0.888イーサは、本校執筆時点で日本円に換算すると、約20万円である。

『VOXverse』は現在開発中だ。