『龍が如く』の英題はなぜ「Yakuza」から「Like a Dragon」に改題されたのか。セガに訊いた
セガは先月9月14日、『龍が如く7外伝 名を消した男』と『龍が如く8』、そして『龍が如く 維新! 極』の3作を発表した。外伝とリメイクと続編を一挙にお披露目するど派手な告知となった。さらに興味深いのは『龍が如く』シリーズはこれまで英語圏では「Yakuza」として展開されてきた。しかしながら新作3作では「Like a Dragon」として題されている。『龍が如く7外伝』は『Like a Dragon Gaiden』、『龍が如く8』は『Like a Dragon 8』、『Like a Dragon: Ishin!』。いずれの作品も「Yakuza」と冠されていない。一体なぜなのだろうか。龍が如くスタジオ代表で制作総指揮を担当する横山昌義氏に理由を訊いた。
横山氏によると、そもそも「Yakuza」として『龍が如く』シリーズがローンチされた時は現在と市場での立ち位置が違っていたという。ニッチで物珍しい作品として認識されており、横山氏もまだ今ほど海外市場への知見もなかったことから、「Yakuza」という名前がつけられていたそうだ。そんな流れでタイトルがつけられ、変えたいと思ったことはあったものの、「Yakuza」として認知されたこともあり下手に変えられないままずるずると現在に至ったそうだ。
しかしながら、『龍が如く0 誓いの場所』の時期からシリーズの海外人気が沸騰。そして近年の『龍が如く』シリーズは「ヤクザの闘争を描く」に留まらない作品になっていることから『龍が如く7』のタイトル名を『Yakuza: Like a Dragon』にしたそうだ。そして新作にて「Yakuza」から「Like a Dragon」へと改題。今回発表された3作品はいずれも『Like a Dragon』シリーズとしてお披露目されたわけだ。『龍が如く7』時点でこうした改題は見込まれていたようだ。
一方で横山氏はまだ『龍が如く8』に関してはまだ英題を検討の余地があるという。それは『Like a Dragon8』の“8”という数字に関してだ。『龍が如く7』が『Yakuza: Like a Dragon』であるならば、『Yakuza: Like a Dragon 2』にするべきか、もしくは段階を踏んでYakuzaの冠を外し、『Like a Dragon 2』にするべきか等は、今回の発表を受けての欧米ユーザーの反応や理解度を見定めたいともいう。グローバルで共通のブランドを作りたいという想いはあるものの、ユーザーが理解に苦しむタイトル名を付けることは本意ではないとのことだ。
「Like a Dragon」というと、『龍が如く』をかなりそのまま英語化したタイトルであるが、これはセガ・オブ・アメリカチームが後押ししたタイトル名だという。日本開発側は『龍が如く 維新! 極』の英題の検討において、日米共通にする必要はなく、オリジナルにするなど自由にやっていいと伝えていたそうだが、アメリカ側の判断により「Like a Dragon」になったとのこと。ちなみに「Yakuza :Ishin!」になる可能性はあったのか訊いてみたところ、「そうなってしまうと訳がわからないのでありえない」と笑いながら否定された。ただし今回の改題は「Yakuza:Ishin!」を避けての改題ではないようである。
また今後極道の戦いにフォーカスした作品をリリースするとしても、「Like a Dragon: Yakuza」というかたちではなく自由な発想でタイトル名を採用することを検討しているとのこと。『龍が如く』チームとしては新作をリリースした際に、その時代の世界とのギャップが生まれないように苦心しているという。昨今では開発スタートから発売まではしばらく時間がかかるが、発売時の時代とギャップが生まれないようにしているようだ。「Yakuza」から「Like a Dragon」へのタイトル変更についても、その時代を描くというチームの考えにもとづいた、先を見越した決断なのだろう。
「Yakuza」シリーズとして展開された『龍が如く』は7で『Yakuza: Like a Dragon』となり、その後「Like a Dragon」として羽ばたくことになった。なかなかおしゃれな切り替わりであるが、かなり入念な準備をもって改題されていたようである。『龍が如く』シリーズの国内外での人気に注目しておこう。
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