Twitchが50:50となった配信者との収益配分率について、あらためて説明。70:30は単純に実現不可能
ライブ動画配信サービスのTwitchは先週末に開催したイベントTwitchCon San Diegoに際して、同プラットフォームを利用する配信者との収益配分率についてあらためて説明した。同社は今年9月に本件について声明を出しており、今回のイベントではユーザーに向けて直接説明した格好だ。海外メディアEurogamerなどが報じている。
Twitchでは、配信者はチャンネルへの視聴者のサブスクライブを通じて収益を得ることができる。その収益の配信者とTwitch側との配分率について、同社は50:50を基本としながら、配信者の配信規模によっては70:30として、配信者がより多くの収益を得られるプランを提供してきた。しかし2023年6月1日からは、一律に50:50とするように改められる。
一部で配信者側の収益配分が引き下げられるかたちとなり、また競合のYouTubeやFacebookが70:30の収益配分率を採用していることもあって、昨年12月にある配信者がTwitchのフィードバックサイトを通じて、一律に70:30に変更するようTwitch側に提案。その投稿には約2万3000件もの支持票が投じられたものの、Twitchは今年9月になって提案を却下し、大きな注目を集めることとなった。
*本件のコメント部分は2時間20分53秒辺りから
今回TwitchCon San Diegoのステージイベント「Patch Notes Live」に登壇したTwitchのマネタイズ責任者Mike Minton氏は、この収益配分率の変更について問われた。そして同氏は、一律で70:30を提供できるかどうかあらゆる可能性を検討したが、答えはノーであったとコメント。長期的な観点で、Twitchでは単純に実現不可能であるとした。
Minton氏は、配信者のコンテンツ制作やコミュニティ構築、またコミュニティの安全を確保するためのツールの開発をTwitchはおこなっており、さらに高品質・低遅延でのライブ配信を全世界に届けるためのコストも高いと指摘。そのうえでTwitchは、配信者がより長いあいだ稼ぎ続けることができるように、また次の世代の配信者も同じ機会を得られるように、長期的な枠組みをもって取り組んでいるのだと説明した。
また同氏は、Twitchの親会社であるAmazonについても言及。Amazonは、Twitchが単独で財政的な発展を遂げ、また持続可能なビジネスを展開することを期待しているとした。こうした背景もあって、配信者の収益配分率の引き上げは実現不可能ということなのだろう。一方で同社は、Amazon Prime特典を通じたサブスクライブなどによって、配信者は事実上の収益配分率を合計65%にすることができると案内している。新規定が適用される2023年6月1日以降は、配信者は通常のサブスクライブ以外からも収益を得られるように工夫していくことになりそうだ。