高評価RPG『ディスコ エリジウム』開発元から一部主要スタッフが“不本意に”離脱。続編開発の可能性は風前の灯火か


高い評価を獲得したRPG『ディスコ エリジウム(Disco Elysium)』の開発元ZA/UMから、同作に携わった一部主要スタッフがスタジオを離れていたことが明らかになった。海外メディアPC Gamerなどが報じている。

『ディスコ エリジウム』は、2019年に発売されたRPG。今年6月には、『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』として日本語版も発売された。本作では、記憶喪失の刑事が殺人事件に巻き込まれ、相棒と共に事件の真相を追う。主人公の脳内には多数の人格が存在し、それらと対話しながらの奥深く自由度の高いゲームプレイが特徴。高評価を獲得し、発売以来多数の賞を受賞している。

ZA/UMの設立メンバーでエディターのMartin Luiga氏は10月1日、『ディスコ エリジウム』のリードデザイナーRobert Kurvitz氏や、アートディレクターのAleksander Rostov氏、そしてリードライターのHelen Hindpere氏らが、昨年末に同スタジオを退職していたことを明らかにした。Rostov氏とHindpere氏については、それぞれのLinkedInプロフィールからも退職の事実が確認できる。Kurvitz氏とRostov氏もZA/UMの設立メンバーであり、本作の開発を率いた立場にあった。

Luiga氏は、彼らは不本意ながらZA/UMを去ることとなったとコメント。具体的な理由については触れなかったものの、“盗み癖のある人々(kleptomaniac)”の存在について言及し、スタジオの環境に何らかの変化があったことを示唆した。同氏の説明によると、その人々は同スタジオへの初期投資の獲得に尽力したそうだが、結果的に巧みにスタジオの主導権を奪った格好になる模様。Luiga氏は、それが彼らのいつものやり方だとしつつ、その人々の内のひとりは、投資詐欺の罪で有罪判決を受けた経歴があるとも述べている。

Luiga氏は、『ディスコ エリジウム』の主要開発スタッフがスタジオを去ったことは、続編を期待していたファンにとっては悪いニュースだろうと述べる。実際に続編開発の可能性があったのかどうかは不明だが、中心的な役割を担ったメンバーがZA/UMを離れたことは事実。難しい状況であることはうかがえる。一方で同氏は、今回の一件はあくまで組織の話であるとし、時間はかかるかもしれないが、続編への望みが完全に絶たれたわけではないとの趣旨のコメントもしている。今後何らかのかたちで、スタッフらがふたたび集結することも視野に入れているのかもしれない。

今回Luiga氏は、文化活動団体(cultural association)としてのZA/UMを解散させる決断をしたことも明らかにした。もともと同スタジオは、アートや音楽、小説など、あらゆる芸術を手がける集団として2009年に発足。ゲーム開発に乗り出したのは2016年になってからである。同氏は、もはや設立当初の精神をもった団体ではなくなったとして、解散させるとした。なお、ゲーム開発スタジオとしてのZA/UMは、同氏の関わりとは別に存続する。

ZA/UMとしては、すでに次なる作品の開発に向けて動き出しているようで、ここ数か月にわたり多数のポジションについてスタッフを募集している。次回作の内容については不明ながら、募集要項ではUnreal Engine 5を使用することや、地球外環境を構築できるスキルがあり、SFや宇宙に興味があるアーティストを求めていたという(Rock Paper Shotgun)。同スタジオは、どのような体制でいかなる新作を手がけるのか、正式発表に注目が集まる。