イギリスにて17歳のハッカーが逮捕。『GTA』シリーズ新作の映像流出などに関与した人物との報道
イギリスのロンドン市警察は日本時間9月23日、国家犯罪対策庁・国家サイバー犯罪部門と協力し、オックスフォードシャーにて17歳の人物を逮捕したと発表した。また翌24日には、2件のコンピュータ不正使用罪の疑いで、この人物を逮捕したことを明らかにした。
現時点ではこれ以上の詳細は発表されていないものの、一部報道によると同容疑者は、先日発生した『Grand Theft Auto』シリーズ新作の開発映像の流出などに関与した可能性があるようだ。
今年9月18日、海外フォーラムGTAForumにてteapotuberhackerなるユーザーが、Rockstar Gamesが開発中の『GTA 6』の映像であると主張する90本の映像ファイルを投稿。さらに、『GTA 6』や『GTA V』のソースコードおよびアセット、『GTA 6』のテストビルドを流出させることについて示唆し、Rockstar Gamesやその親会社Take-Two Interactiveに対して、交渉を持ちかけるようなコメントを残した。またTelegram上では、同ユーザーと思われる人物が、『GTA V』のソースコードなどの売却を模索していたことも確認された。
その時点では、投稿された映像は本当に『GTA 6』のものなのか、またソースコードの流出が事実なのかどうかはっきりしていなかったものの、9月19日になってRockstar Gamesが声明を発表。同社は、ネットワークを通じたシステムへの侵入被害にあい、『GTA』シリーズ新作の映像を含む機密情報が、違法な手段によってダウンロードされたと認めた(関連記事)。
BBCの記者Joe Tidy氏によると、今回逮捕された17歳の人物の件については報道規制が敷かれている状態とのこと。そのため、イギリス国内では警察発表以上の情報は報じられていない模様。そうしたなか、ロイターやFOX40、ABC7の元記者で、現在は自身のメディアThe Deskを運営するMatthew Keys氏が警察関係者の証言として、容疑者は上述したRockstar Gamesの事件に関与し、またUberへのハッキングをおこなった可能性もあると報じた。
Uberの件については、同社が9月16日に、自社ネットワークおよび従業員用のSlackアカウントのハッキング被害を報告している。そして前出のteapotuberhackerは、『GTA 6』の映像を流出させる際に、Uberについても自身がハッキングしたと主張していた。
Matthew Keys氏は関係者からの情報として、ロンドン市警察は今回の事件についてはアメリカのFBIとも協力して捜査し、問題の人物の逮捕に至ったと報じている。また、事件に関与した人物は、少なくともあと2人は存在するとの情報もあるという。
逮捕された17歳の人物は、ハッカーグループLapsus$のメンバーとみられるとのこと。Keys氏は同容疑者について、昨年から今年にかけて発生したマイクロソフトやNVIDIAへのハッキングに関与し、今年初めに起訴された人物と同一であると指摘する。なお、今回のロンドン市警察の発表では、同容疑者は2件の保釈条件の違反を犯したことについても触れている。Keys氏によると、検察はすでに同容疑者を起訴したとのこと。
現時点では、ロンドン市警察やFBIからは事件についての詳細は発表されていない。逮捕された17歳の人物が実際にRockstar Gamesにハッキングを仕掛け、『GTA』シリーズ新作の映像を流出させたのかどうかはまだ何ともいえない状況だ。少なくとも裁判が始まれば、同容疑者が関わった事件の内容が明らかになっていくことだろう。