『スプラトゥーン3』で、試合を放棄するおカネ稼ぎ行為「ラクト談合」が問題視。議論の焦点は“他人に迷惑をかけるか否か”

 

発売から2週間が経過し、さらなる盛り上がりを見せる『スプラトゥーン3』。しかし一部のプレイヤーが、高効率なおカネ稼ぎ手段として「ラクト談合」と呼ばれるプレイをおこなっているようだ。迷惑行為になりうることや、またゲームへの悪影響が懸念されることから問題視されている。一方、ほかのプレイヤーを巻き込まない形であれば許容してもよいという、肯定的な意見もあるようだ。


「ラクト談合」とは、レギュラーマッチに弓系統のブキ「LACT-450」を持ち込み、敵味方問わず全員でただひたすらに床を塗り続けるというもの。ナワバリバトルの報酬額は塗りポイントで決まることを利用して、相手が塗った場所を塗り返し続けることで塗りポイントを稼ぎ、1回のバトルで通常より効率よく報酬を得ることが可能だ。数あるブキの中でもLACT-450 が選ばれた理由としては、塗り効率が高くどのステージも塗りやすいブキであるからと考えられる。また穿った見方をすれば、LACT-450は記事執筆時点での環境で特に採用されやすいブキではない。1チーム内にLACT-450を使うプレイヤーが2人以上いることは珍しく、お互いが「ラクト談合」目的のプレイヤーであることを認識しやすいブキだから、という理由も考えられる。

「ラクト談合」の背景として、本作のコインが不足しやすい現状がある。前作から比較すると、ブキはブキチライセンスでの引き換えに変更された。しかし新たにガチャシステムやザッカ屋が登場し、コインが必要になる場面は増えているのだ。もちろん従来の通り、バトル中に特殊能力を付与する「ギア」の調整にも多額のコインが必要になる。ギアの厳選がしたいプレイヤーはもちろんのこと、大量に用意されたコレクションアイテム類を収集したいプレイヤーもおカネ不足に陥るのだ。

おカネが必要になることで、プレイするモチベーションも高まるという動機付けが生まれているだろう。協力プレイモードであるサーモンランでおカネ稼ぎに勤しむ人も多い。しかし手っ取り早さを重要視する人もいるようで、時間効率や難易度では「ラクト談合」に軍配が上がる。プレイヤーが金欠になりやすい現状が、「ラクト談合」というおカネ稼ぎ行為を生み出したとも考えられるのだ。

「ラクト談合」の問題点は、第一にレギュラーマッチをプレイしたいほかのプレイヤーへの迷惑行為であるということだ。SNSでは実際に、「ラクト談合」に巻き込まれたプレイヤーが蹂躙される様が散見される。レギュラーマッチに参加している限りウデマエのランクには影響がないとはいえ、真面目にプレイしたいプレイヤーからしたら困り物だ。ゲーム内の通報機能には「試合に関わらない行動を繰り返している」の項目も存在する。レギュラーマッチにおける談合行為は、ペナルティの対象とされる場合もあるのだ。何より、現在LACT-450を使ってバトルしているプレイヤーにとって、“談合行為に使われるブキ”というLACT-450へのイメージダウンは喜べないだろう。


一方、ラクト談合を厳密なNG行為と捉えていないプレイヤーもいるようだ。こちらは最初から「ラクト談合」に参加する前提のプレイヤー8人でプレイする限り、ほかのプレイヤーに迷惑をかけていないという意見だ。事実、SNSなどゲーム外で参加者を募り、合意のもとソロプレイヤーを交えないように談合行為をおこなっているプレイヤーも存在する。また本作のコインが不足しやすい現状については、一部のプレイヤーの理解を得られているようだ。

ほかのプレイヤーを巻き込まないラクト談合の是非については、シスターVTuberの天草ミロ氏がTwitter上でアンケートを募集している。ほかのプレイヤーを巻き込まず、参加者8人全員が「ラクト談合」目的でプレイする行為を争点としたかたちだ。結果は1878票中、「やってもいい」が42.1%、「やったらだめ」が57.9%。否定派が多いという結果だが、肯定派もアンケート全体の4割と、意見が割れたかたちだ。アンケートの結果を受けて天草ミロ氏は、談合行為そのものがゲームシステムへ悪影響を及ぼす懸念があるとコメント。「スプラが好きなら辞めよう」と添えている。


レギュラーマッチにおいてこうした談合行為をおこなうことは、想定された遊び方ではないことは明確だ。迷惑行為であることはもちろん、ほかのプレイヤーを巻き込まないかたちであってもゲームへの影響は計り知れない。一方で、おカネ不足に苦しむプレイヤーたちが多く存在するのも事実であり、彼らが生んだ苦肉の策が「ラクト談合」とも考えられる。とはいえ、『スプラトゥーン3』はプレイヤーに長期的に遊ばれることを狙いとしてデザインされている。遊び方は個人の自由とはいえ、短期的に不自然なかたちでおカネを稼ぎコンテンツを急速に消費する試み自体が、ゲームにあまりあってはいないだろう。

9月24日からはフェスの開催も控え、さらなる盛り上がりが期待される本作。他人に迷惑をかけない、かつ自分自身が楽しめるプレイで、本作を遊んでほしいところだ。



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