全世界注目のピノキオ・ソウルライク『Lies of P』待望のプレイ動画が公開されるも「棒読みNPC」がツッコまれまくる。適当すぎてクセになる棒演技

アクションゲーム『偽りのP(Lies of P)』の新プレイ動画が先日公開された。本作を実際に遊ぶ様子がよく分かる動画になっている一方で、「棒読みNPC」がツッコミと注目を集めることとなった。

アクションゲーム『偽りのP(Lies of P)』の新しいプレイ動画が9月8日、IGNより公開された。内容はステージ開始からボス戦までのプレイになっており、本作を実際に遊ぶ様子がよく分かる動画になっている。複数のゲームショウで取り上げられており、発売前から期待を集めている本作。システムや戦闘が話題になる一方で、別の部分も注目を集めることとなった。

『偽りのP(Lies of P)』は、童話をモチーフにした3Dアクションゲームだ。手掛けるのは、デベロッパーのRound8 StudioとパブリッシャーのNEOWIZ。ピノキオ人形を主人公に据えており、古典童話を再解釈したストーリーと、『Bloodborne』などの影響を受けたいわゆる「ソウルライク」と呼ばれる戦闘スタイルが特徴だ。本作はドイツで開催されたゲームショウgamescom 2022においてMost Wanted Sony PlayStation Game Prize(一番欲しいPlayStation向けゲーム賞)を受賞するなど、発売前から注目を集めている。そして9月8日、本作の新たなゲームプレイ映像がIGNにて公開された。本来ならばそのゲームプレイに注目が集まるところだが、実際はある意外なシーンが話題になった。

話題になったのは、動画後半のあるシーンのセリフ(動画内21:40〜)。ステージを進む主人公は橋の上で、「Mad Donkey」なるNPCと対峙する。大きなナタのような武器を振りかざし、「You cunning rascal! You won’t get through here! Die!(ずるがしこい悪党め!ここを通すわけにはいかない!死ね!)」と主人公に襲い掛かるMad Donkey。本来ならプレイヤーを緊張させるはずのこのMad Donkeyのセリフがなぜか、まるで感情のこもっていない棒読みなのだ。たとえるならば、疲れ切った休日のお父さんだろうか。殺意みなぎるセリフの内容と、落ち着いた抑揚のない演技が噛み合っておらず、とても肩透かしに聞こえてしまう。

この「棒読みの演技」は明らかにゲーム全体の雰囲気とも噛み合っておらず、動画のコメント欄には「開発スタッフが声をあてているのか?」「感情を内に秘めた名演だ」などツッコミや皮肉めいた投稿が並ぶことになった。ほどなくして本作の公式YouTubeアカウントが、コメント欄にて説明を投稿。「キャラクターの音声は現在制作中であり、動画の音声はプレースホルダー(仮データ)です」と弁解した。「棒読みの演技」は、製品版のために用意された正規の音声ではないと説明したかたちだ。あわせて動画の説明文にも同様の説明が追加された。


これは決して開発スタジオ側の言い訳ではなく、本当に開発中の仮の音声がプレイ動画で流れてしまったものと思われる。というのもゲーム制作において、仮の音声データを使うことは珍しいことではない。開発の都合上、音声を再生する場面では音声データを準備して、実際に正しく再生されることを確認しながら開発を進めるのが望ましい。そのため仮のデータを登録しておき、セリフの収録後にデータを差し替えるという開発手法が一般的に取られている。また「仮ボイス」はスタッフが直接吹き込むこともあるが、本作の場合は効率化のために「テキスト読み上げソフト」の音声を使っているような印象もある。

実際に筆者がGoogle Cloudで提供されている読み上げサービス「Text-to-Speech」のデモで試してみたところ、かなり近いテイストの音声が得られた。こまかい設定としては、Language/localeをEnglish(United States)、Voice nameをen-US-Wavenet-B、に設定し、SpeedとPitchをデフォルトから少々下げることで動画の音声にかなり近い「演技」が得られた。緊張感のなさ、間延びした「Die」などの特徴が類似している。もちろん、仮ボイスがどのように収録されたかは不明だ。しかし、殺意みなぎるセリフが機械的に読み上げられているのは、文字通り機械に読み上げてもらっていたからかもしれない。

また本作は2023年の発売を予定しており、今もなお鋭意開発中。現時点でゲーム内に仮ボイスが存在することは、発売時期を踏まえると違和感はない。なお、プレイ動画では別のNPCのセリフも聞くことができる(動画内4:20〜)。やはり人間らしい抑揚とは言えないものの、こちらはそもそも機械人形のセリフ。いわゆる「ロボ声」風の効果がかかっているため違和感もなく、特にツッコまれなかったようだ。


製品版では正規の音声に差し替えられるため、プレイヤーがこうした開発中の仮ボイスを聞く機会はめったにない。そのためユーザーからは、この「ゲーム内で流れる棒読み」は意外性による面白さをもって受け止められたようだ。仮ボイスと判明してからも、コメント欄には面白半分で「(製品版でも)このままにしてほしい」といった反応が見受けられる。製品版ではMad Donkeyの鬼気迫る演技が聞けるのかどうか、リリースを楽しみに待ちたいところだ。

『偽りのP(Lies of P)』はPC(Steam)/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに、2023年発売予定。また、Xbox Game Pass向けにも提供される予定だ。および日本向けにも発表されており、ゲーム内での日本語表示に対応する。

Aya Furukawa
Aya Furukawa

主にニュースを担当。ビジュアルや世界観にこだわりのあるゲームが好きです。

記事本文: 119