PS Storeの“ストア税”を巡る集団訴訟。原告代表者がRedditで支持を求めるも、猜疑心うずまき逆効果に

現在イギリスにて、PlayStation Storeにおけるいわゆるストア税に関して、ソニーを相手取る訴訟が提起されている。その原告を務める人物が現地時間9月7日、RedditにてAMA(Ask Me Anything)を実施。広く質問を募ったところ、厳しい意見が相次いだようだ。海外メディアEurogamerなどが報じている。

現在イギリスにて、PlayStation Storeにおけるいわゆるストア税に関して、ソニーを相手取る訴訟が提起されている。その原告を務める人物が現地時間9月7日、RedditにてAMA(Ask Me Anything)を実施。広く質問を募ったところ、厳しい意見が相次いだようだ。海外メディアEurogamerなどが報じている。

今回の訴訟は、消費者の権利擁護活動をおこなうイギリスの団体Resolver GroupのCEO Alex Neill氏が、今年8月19日に同国競争審判所にて集団訴訟として提起した。訴えの内容はというと、PlayStation Storeでの売り上げに対し、SIEが販売元から徴収している手数料の30%という設定が、消費者権利法に違反しているというもの。

原告は、SIEは市場における立場の強さを乱用して販売元・開発元に不当な条件を飲ませ、その結果消費者が支払う価格の引き上げに繋がっていると主張。そして2016年8月19日から現在までにおこなわれたストアでの購入を対象に、約900万人の消費者への過大請求分として、ソニーに最大50億ポンド(約8270億円)の賠償金の支払いを求めた。


この集団訴訟の原告代表を務めるAlex Neill氏は9月7日、RedditにてAMAを実施。同氏は、物価の高騰が消費者の生活を直撃しているなか、ソニーは消費者に過大な負担を強いているとし、大企業はその支配的立場を乱用すべきではないと主張。そして本件について、Redditユーザーからの質問を受け付けた。

もっとも多く寄せられたコメントは、30%という手数料設定はほかの多くのゲームプラットフォームでも採用されている、いわば業界標準であるという指摘だ。これに対しNeill氏は、ほかのプラットフォームにも同様の問題が存在するとしつつ、今回の訴訟によってそれらの改善にも繋がることを期待すると述べた。また、企業が利益を得ることに反対はしないが、サービス提供にかかるコストからすると、ソニーは消費者に過大な負担を強いていると主張している。

仮に勝訴した場合に、集団訴訟に参加した原告ひとりあたりが受け取れる金額や、訴訟にかかる経費についての質問も多く寄せられた。質問者の意図としては、こうした裁判では各種経費を差し引くと、原告が受け取れる賠償金が少なくなるケースが多いという点にある模様。なお今回の裁判は、いわゆる訴訟ファンドのWoodsfordや保険会社から資金を得ておこなわれている。

この質問についてNeill氏は、原告が受け取れる金額は、67ポンド(約1万1000円)から562ポンド(約9万3000円)と試算していると回答。一方で、弁護団やWoodsford、保険会社、あるいはNeill氏自身が受け取る手数料などの金額については明言を避けた。

今回Alex Neill氏には、ゲーマーも多く利用するRedditにてAMAを実施することで、訴訟への支援の輪を広げたい狙いがあったものと思われる。実際多くの質問が寄せられ、本件に対するRedditユーザーの関心は高かったようだ。

ただ、主張にある「SIEが消費者に過大な負担を強いている」との点や、巨額賠償金の設定の根拠などは不透明なまま。Neill氏の説明に納得するユーザーはほとんど見られない様子であり、またあらゆる質問に回答がなされたわけでもなかった。なかには、訴訟ファンドの金儲けに利用された裁判であるとして、猜疑心を高めた人もいる様子。結果的に今回のAMAは、Redditユーザーらに“失敗”の烙印を押されることとなってしまった。いずれにせよ裁判については、今後どのように展開するのか注目される。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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