注目集めるホラーゲーム開発元ボスが、過酷な労働環境をほのめかし&肯定し批判浴びる。本人は誤りを認めて謝罪

 

KRAFTON傘下のデベロッパーStriking Distance Studiosの設立者・CEOであり、サバイバルホラーゲーム『The Callisto Protocol』のゲームディレクターを務めるGlen Schofield氏は9月4日、Twitterにて本作の開発スタッフに対し謝罪した。この直前に同氏は、過酷な労働をスタッフに強いているのではないかとも受け取れるツイートをしていた。

Schofield氏は、かつてEA/Visceral Gamesにて『Dead Space』シリーズなどの開発を率いた人物。その後Sledgehammer Gamesの設立に参加し、『Call of Duty: Advanced Warfare』などのディレクションを担当してきた業界のベテランだ。そして同氏が新たに立ち上げたStriking Distance Studiosにて現在開発中の『The Callisto Protocol』は、『Dead Space』シリーズの精神的後継作ともいえる内容となっており、大きな注目を集めている。

そんなSchofield氏は9月3日、『The Callisto Protocol』について語れるのはイベントの開催中だけであるとツイートした(現在は削除済み)。それは多忙であることが理由の模様。ツイートでは続いて、「我々は自主的に週6〜7日働いている」と述べた。疲労困憊で、また新型コロナウイルスの影響を受けながらも、働き続けているのだとした。

さらに同氏は、バグ修正やパフォーマンスの改善、オーディオの仕上げ作業といった仕事があり、1日に12〜15時間働く日々が続いているとコメント。キツい仕事であり、ランチやディナーを食べながら仕事をすることもあるという。そして、これがゲーム業界だとしたうえで、皆はそれを望んでやっているのだと述べた。

Schofield氏はほどなくして当該ツイートを削除したが、その前に経済誌Bloombergの記者Jason Schreier氏の目に留まり、ツイートの内容に大きな注目が集まった。Schreier氏は、ゲーム業界の労働環境の問題などについて取材してきた人物として知られる。

Schofield氏はツイートにて、スタジオでは長時間労働が続いている状況を語りつつ、みな誰かから強制されてやっているわけではなく、好んでそうした働き方をしているのだと述べていた。これに対しSchreier氏は、やりがい搾取であると指摘。スタジオのボスであり、スタッフの給料や肩書き、雇用形態に関与できる立場にあるSchofield氏がそうした発言をするということは、長期間にわたる強制的な長時間労働、いわゆるクランチの文化がスタジオ内に存在しているのではないかとした。

近年のゲーム業界では、労働環境の問題が取りざたされるなかで、従業員の健康や生活に悪影響があるということで、過酷な労働を強いるクランチについても厳しい目が注がれてきた。スタジオによっては、クランチしないとあえて宣言するところも現れている。

批判の声を受けてSchofield氏は翌9月4日、Twitterにて声明を発表した。同氏は、共に仕事をする人たちに対していかに情熱的に接しているかは、自身のことを知っている人たちは理解しているだろうと述べる。そして、削除した先のツイートでは、スタッフらが注ぎ込んだ努力や時間について誇りに思うと述べたが、それは誤りだったとコメント。評価すべきは時間の長さではなく、情熱や生産性であるとし、先の発言についてスタッフらに謝罪した。

『The Callisto Protocol』は今年12月2日に発売予定となっており、開発元Striking Distance Studiosでは仕上げ作業に追われているところだろう。もっとも、同スタジオは実際にクランチと呼べるような状況にあるのかどうかは不明。Schofield氏のツイートは不用意な発言だったといえるが、もし労働環境に問題があったのであれば、同氏が先導して改善させていくことが期待されそうだ。


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