『ポケモン赤・緑』のカントー地方を、数百人のピクセルアーティストらが「再構築」。主人公の家が石造り化など自由に再創造される懐かしの場所
数百人のピクセルアーティストたちが集結し、ゲームボーイ版『ポケットモンスター赤・緑』(以下、ポケモン赤・緑)の舞台となるカントー地方をカラーでひとつなぎに再現した。海外メディアThe Gamerが伝えている。
『ポケモン赤・緑』は1996年に任天堂から発売されたゲームボーイ用RPGであり、『ポケモン』シリーズ第一作目。ポケモントレーナーとして、ポケモンと呼ばれる生物を捕まえながら各地に存在するジムリーダーに挑戦し、最終的にポケモンリーグ四天王からの勝利を目指す大人気シリーズの礎となった作品だ。
そんな『ポケモン赤・緑』の舞台であるカントー地方を、進化したグラフィックのピクセルアートで再現したプロジェクトが登場した。プロジェクトの名前は「Kanto Redrawn」。カントー地方が約50か所に分割され、それぞれがアーティストの個性とともに再現されている。合計で数百人のピクセルアーティストが関わっているとのこと。ゲームボーイの技術的な制約によって開発者たちが限定的にしか実現できなかった(であろう)カントー地方のビジュアルをより自由に表現することが、本プロジェクトの目標となっている。
マサラタウンからセキエイ高原まで、ゲーム内でプレイヤーが訪れることができる街並みや道路と水路もすべて再現され、カントー地方がひとつなぎの地図となっている。サイト内では、ページをズームしたりしてGoogle マップを見るような感覚でカントー地方を探索できる仕様になっている。
原作ではランダムエンカウント方式のためフィールドには描写されていなかった野生のポケモンも、本プロジェクトでは描かれている。21番水路でニョロモが水遊びをしていたり、3番道路の西側ではピジョンが群れでV字に隊列を組んで飛行していたりと、芸が細かい。これらは一例にすぎず、全エリアにわたってこのような趣向が凝らされている。
また、オプションからオリジナル版のマップを表示する機能をオンにすると、原作のマップと比較しながら探索を楽しむことができる。たとえば、ストーリーの始まりとなるマサラタウン(英語版ではPallet Townという名称)に2軒ある民家。オリジナル版では簡素な2階建ての一軒家のように見えるが、「Kanto Redrawn」版では外壁は石造りになり煙突も設置されている。そのほかにも、原作では立方体の平屋建てだったトキワシティのポケモンセンターがアニメ版に登場したものにあわせてドーム型になっていたりと、アーティストそれぞれがイメージした新たなカントー地方が表現されている。
原作では統一された表現になっていた水面の質感も、アーティストによって表現方法が違っており、それを見比べていくだけでも非常に興味深い。気に入った部分があれば、サイドバーにあるリストに担当したアーティストのTwitterのリンクが表示されている。そこから、興味を持ったアーティストの別の作品に触れてみるのもよいだろう。
この企画は「Retro Redrawn」というプロジェクトの一環であり、同プロジェクトは他にも『ポケットモンスター金・銀』の舞台であるジョウト地方を再現した「Johto Redrawn」や、『ゼルダの伝説』の舞台であるハイラルを再現した「The Legend of Zelda Redrawn」も発表している。
いずれの企画も原作への強いリスペクトを感じさせつつ、進化したグラフィックで新たな世界観を提示してくれる「Retro Redrawn」。ほかのピクセルアート作品の再現もぜひ見てみたいものだ。