ただひたすら岩になりきるゲーム『Rock Life: The Rock Simulator』Steam無料配信。現時点で評価は「非常に好評」

 

インディースタジオBGNB Studiosが7月21日、『Rock Life: The Rock Simulator』をSteamにて無料リリースした。タイトルからわかるとおり、ただひたすら岩になりきるゲームだ。そんなゲームが7月25日現在、ストアページのレビュー評価で「非常に好評」となっている。

本作はオーソドックスなシミュレーターゲームとは一線を画す、「個性的なシミュレーター」に属するであろう作品だ。アプリケーションを起動すれば後はやることは単純だ。メニュー画面から「Become Rock」を選択すればプレイヤーは岩となる。草原を揺らす爽やかな風が吹く中、プレイヤーはただどっしりと目の前にある岩をながめるだけ。岩となったプレイヤーは当然動くことはできない。しかし音を聞くことはできるのか、鳥のさえずりと荘厳なBGMを聞きながらただただ岩をながめることとなる。


「Change Rock」というオプションを選択すると目の前の岩を変化させることができる。初めは川辺で見かけるような丸みを帯びた石なのだが、石灰岩のような白い石、ウルル(エアーズロック)を彷彿とさせる赤い岩など、現時点で5種類の岩が実装されている。さらに「Change Scene」を選択すると、ロケーションは打って変わって日本の禅寺の庭先へと変わる。こちらの方がより厳かな雰囲気が引き立つ印象だ。


ここまでの説明で、本当にただ岩をながめるだけのゲームという印象しか感じられないかと思うが、まさにそのとおりだ。そんなゲームが高評価を得ているのには、やはりこの唯一無二の空気感があるのではないだろうか。Steam内のコミュニティでは、自分たちの岩を自慢しているのであろう多くの“rock”というコメント付き画像のほか、“zen”というコメントも見られる。本作を評価するプレイヤーは、そういったゆったりとした時間が体験できる、作中に流れる禅の空気に惹かれているのだろう。

また同じ岩を扱ったシミュレーターに『Rock Simulator』がある。こちらは岩をながめるだけではなく、たくさんのロケーションやパズル、さらにレベル上げ、スキン、実績といったゲーム要素が存在。それに対して本作はただながめるだけ。ゲーム的な要素を一切排除した潔さが好評の理由なのかもしれない。

YouTubeでは雨が降る音や暖炉が燃える音を収めた動画が作業用BGMとして意外な人気を誇っている。本作に、それと同様の感情を抱くプレイヤーがいる可能性もある。というか、筆者はそう感じた。見つめ続けているとどこか愛着も感じられる岩と環境音、BGMをお供にすれば、仕事や勉強もはかどるはずだ。

そして、本作はVRにも対応している。非VRのスタンダードモードでは視点を動かすことさえできないが、VRモードでは360°自由自在だ。といっても、VRモードでは岩の視点ではなく、目の前に岩がある視点を初期位置として、そこを軸に辺りを見回すことのみできる。それを踏まえて考えれば、目の前の岩は自分ではない可能性がある。自分とはいったいなんだろうか。


余談だがウィンドウサイズを変更すれば可視範囲も広がっていく。ウルトラワイドモニターを使用している方は一度この雰囲気の違いも試してほしい。

『Rock Life: The Rock Simulator』はSteamにて無料で好評配信中。新たな岩やロケーション、そして気象システムや昼夜の実装など、アップデートも継続しておこなわれていく予定となっている。