Epic Gamesストアにてユーザーがゲームを評価する「レーティング」機能が導入されるも、 高評価ばかりになる状況に

Epic Gamesは今年6月17日、運営するEpic Gamesストアに「レーティング」機能を実装した。ただ、少なくとも現時点では、この独自システムの有効性に疑問符がつく結果となっているようだ。

Epic Gamesは今年6月17日、運営するEpic Gamesストアに「レーティング」機能を実装した。これは、販売されているPCゲームに対する評価について、ユーザーがフィードバックできるシステム。同ストアには、これまでユーザーレビュー機能が存在しなかったが、それに相当する機能がついに実装された格好だ。ただ、少なくとも現時点では、この独自システムの有効性に疑問符がつく結果となっているようだ。海外メディアArs Technicaが報じている。


Epic Gamesストアの「レーティング」機能は、個別のゲームについてプレイヤーが5段階で評価できるシステムだ。ただし誰もが評価できるわけではなく、そのゲームを2時間以上プレイしたプレイヤーのうち、ランダムで選ばれた人が評価を投じることができる。そしてすべての評価が集計され、総合レーティングとしてストアに掲載。入力する評価は5段階となるが、統合レーティングは5点満点で小数点以下第一位まで表示される。

レーティング機能は、プレイヤーがゲームを直接評価できるという点で、ユーザーレビュー機能に代わるものとなっている。海外メディアArs Technicaによると、現時点では約480タイトルに総合レーティングが掲載されているとのこと。なお、Epic Gamesストアには1400タイトル以上が存在する。未掲載のものがまだ多いようだ。

では、機能が実装されてから約10日が経ち、ストア上の各ゲームの評価はどうなっているのかというと、全体的に高評価に偏っているという。以下のグラフは、総合レーティングのスコアとそれぞれの獲得タイトル数を表している。

Image Credit: Ars Technica


グラフでは4.6点の前後に、ほとんどのタイトルが集まるかたちとなっていることが分かる。また、もっとも低いレーティングは3.8で、獲得したのは1タイトルのみ。最低点とはいえ、3.8は5段階評価として考えると悪いスコアではない、というよりむしろ高く評価されている方だろう。

良いゲームが高く評価されることに問題はない。ただ、少なくとも現時点で、総合レーティングのついたタイトルが高評価ばかり、というのは歪な状況だ。評価を投じることができるのは、そのゲームを2時間以上プレイした人のみ。となると、面白くないと感じて2時間未満でプレイをやめてしまった人には、評価する権利すらないことになる。そうした人は、機会があるならおそらく低評価を投じるだろう。もちろん、2時間以上プレイして面白くないと判断する例も考えられるが、すでに足切りされている格好である。これが、高評価が集中している背景かもしれない。

また先述した、総合レーティングがまだ掲載されていないタイトルが大半を占めるという状況も気になる点だ。総合レーティングがつかない明確な理由は不明だが、プレイヤーが少なく、評価数が一定値に達していないものと考えられる。もしニッチなゲームあるいは不人気なゲームに評価がつきにくいとなると、レーティングシステムが十分に機能していないといわざるを得ない。2時間未満でクリアできる短編ゲームもまた、どれだけ面白い内容であったとしても、評価が投じられる数は少なくなりそうだ。

『TUNIC』の総合レーティングおよびメディア評価


そのゲームを2時間以上プレイしたプレイヤーのうち、ランダムで選ばれた人が評価を投じることができるという仕組みは、Epic Gamesによると、いわゆる“レビュー爆撃”への対策という側面があるという。レビュー爆撃とは、作品の評価を下げることを目的に多数の低評価が投じられることで、Steamなどで時折発生している。原因は、たとえば開発者の言動であったり、ゲーム内の特定の表現であったりとさまざまだ。いずれにせよ、そのゲーム自体の評価とは関係なく低評価が投じられるため問題視されている。

Epic Gamesストアのレーティング機能の仕組みは、確かにレビュー爆撃対策としては有効だろう。ただ、そのレーティング機能がユーザーの利益に繋がっているかというと、これまで触れたように、現状はいまひとつといえる。また、“ユーザーレビュー”ではなくレーティング(点数)を採用した点に、情報量として物足りなさを感じる人もいるかもしれない。レビューを読むと評価の理由をより深く理解でき、低評価レビューであっても、自分にとっては“買い”となる場合もある。

ストアの各ページには、レビュー集積サイトOpenCriticのスコアやメディアレビューが掲載されており、ユーザーによる総合レーティング以外にも、購入の参考になる情報は提供されている。ただし海外メディアばかりのため、いくら詳細なレビューであっても英語が苦手な人には辛いだろう。

レーティングとは別に、ランダムに選ばれたプレイヤーが、ゲーム内容に関するアンケートに答えられる機能も実装された


現在の様子から、Epic Gamesストアのレーティング機能は期待どおりの役目を果たしているとはいえなさそうだ。もっとも、まだ実装されてから10日ほどしか経っておらず、判断するのは時期尚早かもしれない。また、運用状況を見極めて、Epic Gamesが改善させていく可能性もあるだろう。今後の状況を見守りたいところだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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