Steam版『Alice: Madness Returns(アリス マッドネス リターンズ)』の販売が再開された。定価は1900円で、ゲームは購入可能となっている(Steamストアページ)。しかしながら、同作を手がけたクリエイターは不満げな様子である。
『Alice: Madness Returns』は、EAが2011年に発売したアクション・アドベンチャーゲームだ。開発については、『Doom』シリーズなどの開発に携わったAmerican McGee氏が率いる、Spicy Horseが手がけていた。『アリス イン ナイトメア』の続編となる本作の主人公は、火事によって家族を失ったアリス。記憶をなくし精神を病んでいたが、徐々に回復しつつあった。しかし悪夢のような幻覚症状は一向におさまらない。記憶を取り戻して真相を確かめるべく、アリスは荒廃したワンダーランドへと向かう。
『Alice: Madness Returns』は、Steamで配信されていたのち、Origin移行などに伴いDRMの事情でSteamでの販売を停止。そして今年2月に配信が再開されていた。しかし6月16日にまたひっそりとゲームの販売が停止された。つまり、一度販売が停止され、再開。そしてまた販売停止されたのである。
その原因として、「開発チームの勘違い」説があげられていた。『Alice: Madness Returns』開発元のSpicy Horseは2014年よりゲームとして『Akaneiro: Demon Hunters』を展開。しかし最近ではハッキング被害によりプレイできなくなっていた。それゆえに、Spicy Horse はSteamから同作の販売を引き上げようとしていたわけだ。その際に、伝言におけるミスがあったのか、Spicy Horseが開発するすべてのタイトルがSteamで販売停止された。その中に『Alice: Madness Returns』が含まれていたわけだ。
そして6月21日になり、『Alice: Madness Returns』は販売再開された。しかしAmerican McGee氏は不満げ。というのも、復活したのは『Alice: Madness Returns』のみのようだ。同じく事故的に販売が停止されたSpicy Horse開発のゲーム『Grimm』には動きなし。またAmerican McGee氏は、Valveに問い合わせたにもかかわらず返答がなく、同氏としては「何の言葉もなく販売再開された」と不満げに語っている。同氏は、誰もValveが悪いとは言っていないとしつつ、開発元とValve両方が、最初の段階でもっと整合性を確認すべきだったと漏らしている。
『Alice: Madness Returns』のパブリッシャーは、Electronic Arts(EA)である。Spicy Horseの取り下げトラブルとは無関係の第三者だ。EAからの要請で販売を再開したのかもしれない。そもそもAmerican McGee氏はすでにSpicy Horseを離れている。『Alice』シリーズの権利は同氏のもとにあるようだが、Steamストアの開発元/販売元に名を連ねておらず、同氏の不満にValveがどのように対応するかは難しいところだろう。
ともかく『Alice: Madness Returns』Steam版が販売再開されたのは確か。販売停止を嘆いた方は、いまのうちにゲームを購入しておくといいだろう。American McGee氏は現在、第三作目となる『Alice: Asylum』を開発中である。