『星のカービィ』幻の「ゲームキューブ版」の映像を“発掘した”と主張するユーザーあらわる。2005年E3の現場か

あるユーザーが、ゲームキューブ版『星のカービィ』の新たな映像を発見したと主張しているようだ。同作は、開発中止となった幻の『星のカービィ』。

あるユーザーが、開発中止となったゲームキューブ版『星のカービィ』の新たな映像を発見したと主張しているようだ。GamesRadar+が報じている。 

1992年のゲームボーイ版『星のカービィ』が発売されて以来、さまざまなプラットフォームでリリースされてきた『星のカービィ』シリーズ。しかしある期間、据置機にて発売されない空白の期間があった。NINTENDO 64で『星のカービィ 64』が発売されたのが2000年、そして次に据置機でいわゆる“王道”『星のカービィ』が発売されたのが2011年の『星のカービィ Wii』。その間にレースゲーム『カービィのエアライド』や番外作品『毛糸のカービィ』、あるいは携帯機作品が発売されてはいたものの、据置機版“王道カービィ”は11年もの間発売されなかったのだ。 

実はこの時期、開発中止となった幻の“ゲームキューブ版『星のカービィ』”が存在したことが知られている。同作は、2005年のE3にて初公開された。敵キャラクターをヘルパーにできることや、ヘルパーとカービィ同士でおんぶできる様子などが映像で公開。3Dで表現された横スクロール型のアクションに期待が集まった。 
 

 
しかしゲームキューブ版『星のカービィ』は結局発売されていない。このときの開発の困難は任天堂公式ウェブサイトの「社長が訊く『星のカービィ Wii』」に詳しい。ハル研究所プロデューサー(当時)の川瀬滋史氏によれば、ゲームキューブ版『星のカービィ』は『星のカービィ 64』の直後に開発が始まっていた。ゲームキューブで4人同時に遊べることをコンセプトにした作品だったものの、シングルプレイとマルチプレイを共存させることの難しさなどが開発の障壁となっていたようだ。結局同作は、2005年E3での初報以降の続報がなく立ち消え、幻の作品となってしまった。 

あらためて、今回新たに“発見された”というゲームキューブ版『星のカービィ』の映像を見てみよう。アップロードされたのは、わずか10秒からなる動画。どこかで上映されている映像を手持ちで撮影しているらしく、画質はよいとはいえない。映像からは、カービィがウィリーバイクで疾走する姿、ハンマーで杭を打つ姿、ストーンで敵を蹴散らす姿などが確認できる。さらには、3体のプラズマウィスプとともにプラズマアローを放つ姿も。本映像が本当にゲームキューブ版『星のカービィ』の映像クリップだとすれば、ヘルパーと共闘している姿ということになるだろうか。 
 

 
今回公開された映像の出所や真贋は不明。とはいえ、ヒントがないわけではない。映像の下部に注目すると、ゲームボーイミクロのロゴが映り込んでいることが分かる。ここで、2005年のE3を記録した映像を観てみよう。ゲームキューブ版『星のカービィ』のトレイラーが上映されている光景が記録されている。このとき、トレイラーを上映する巨大なモニターの手前には、ゲームボーイミクロの展示ブースが存在していたのだ。つまり先述の“発掘映像”が本物であるとすれば、このゲームボーイミクロの展示ブースが映り込んだ、2005年E3の映像だと推測することもできるだろう。だとすれば、当時の現地のみで見られた映像が、今になって浮上しファンの注目を集めたことになる。 
 

*2分58秒ごろより、ゲームキューブ版『星のカービィ』展示風景。 

 
とはいえ推測するよりほかになく、映像の真贋については不明なままだ。結局は開発中止となったゲームキューブ版『星のカービィ』だが、その要素は以降の作品にも受けつがれた。たとえば仲間をおんぶするアイデアは『星のカービィ Wii』へ、そしてヘルパー再登場については『星のカービィ スターアライズ』で実現。日の目を見ることはなかったゲームキューブ版『星のカービィ』ではあるものの、その遺伝子は今後もさまざまな作品でお目にかかれるかもしれない。 

Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

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