パブリッシャーのTHQ Nordicなどを傘下にもつEmbracer Groupは5月27日、運営するEmbracer Games Archiveが収集したPAL仕様のNES(海外版ファミコン)向けゲームが、400本近くになったと報告した。同グループは、昨年よりビデオゲームの保存活動に乗り出している。コレクションを着実に充実させている様子が伝えられ、その活動にあらためて注目が集まっているようだ。
Embracer Groupは、ゲームスタジオやIPの買収により近年急成長している、スウェーデンに拠点を置く企業だ。傘下にはTHQ NordicやKoch Media/Deep Silver、Saber Interactive、Gearbox Entertainmentなどが存在し、現時点で40か国以上に合わせて119ものスタジオを抱えている。先日にはスクウェア・エニックスから、Crystal DynamicsとEidos Interactiveといった海外スタジオや、『トゥームレイダー』『Deus Ex』などのIPを買収したことでも話題となった。
同グループは昨年2月におこなった決算発表会見にて、ビデオゲームの保存事業をおこなうと発表。CEOのLars Wingefors氏が、自身のゲームコレクションを会社に寄付したことが事業化のきっかけだったそうだ。会見で同氏は、「すべてのゲームをアーカイブする」と意気込みを語っていた。
その後同グループは、専門の部署となるEmbracer Games Archiveを設立。スウェーデン・カールスタードにある施設に、収集したゲームやコンソール、周辺機器、アーケード筐体など収めている。昨年の発表の時点で、欧州のコレクターから購入したアイテムを含め、約5万点がすでに所蔵されているとされていたが、現在はさらに増加していることだろう。
Embracer Games Archiveは、今年4月よりInstagramにて保存活動の様子を公開している。倉庫のような場所に巨大な棚がいくつも並んでおり、5名のスタッフが収蔵作業にあたっているそうだ。膨大な数のゲームが所狭しと収められており、日本版のゲームや、同じゲーム機の各バリエーションモデル、また限定版や攻略本なども確認できる。なかにはかなりレアなものも存在するという。まさに、すべてのゲームをアーカイブするかのような光景。豊富な資金をもつEmbracer Groupなら、本当に可能かもしれない。
Embracer Games Archiveは、ビデオゲーム業界における歴史として、こうしたゲームなどを可能な限り多く保存することを目指しているそうだ。将来的には、展示会をおこなう可能性もあるとのこと。また収集したコレクションは、ゲーム開発における参考資料にもなり、Embracer Group内の各社にとってもメリットのある事業であると説明されている。
なおEmbracer Games Archiveでは、個人のゲームコレクションの買取もおこなっているという。売却したいアイテムがあれば連絡してほしいとのことである。詳細は公式サイトを確認してほしい。