EAがゲームタイトル『FIFA』と正式に決別。契約料の交渉難航報道を経て、2023年夏から『EA SPORTS FC』に

 

Electronic Arts(以下、EA)は5月10日、『FIFA』に関するゲームタイトル契約を終了すると発表。あわせて、新ブランドとして『EA SPORTS FC』を始動させる計画を明らかにした。


『FIFA』シリーズは、1993年の『FIFA International Soccer』発売以降、長きにわたりファンに愛されてきたサッカーゲームシリーズだ。同シリーズ名である“FIFA”は、各大陸のサッカー連盟を束ねる国際サッカー連盟のこと。EAは、国際サッカー連盟FIFAとのライセンス契約のもとで『FIFA』をゲームタイトルに冠してきたのだ。EAはFIFAのほかにも多数のライセンスパートナーとの契約のもと、実在チームや選手を作品に登場させている。つまり、FIFA公式ゲームとして箔つきの状態だったのだ。

一方で、ライセンスしているということは、EAはFIFAにライセンス料を払う必要がある。このライセンス料をめぐって、交渉が難航しているとの報道が出ていたのだ(The New York Times)。同紙によれば、EAは、現在の10年契約が終了する来年のワールドカップに向けて、少なくとも2年にわたりFIFAとの交渉を進めていたとのこと。契約更新にあたってFIFA側は現在EAから受け取っている契約料から2倍以上の値上げを要求したそうだ。その総額は4年を通じて10億米ドル(約1100億円)を超えるという。またFIFAのライセンス権利の使用の幅をめぐっても、衝突があると報じられていた。

実際に何があったかは不明なものの、EAは『FIFA』のゲームの冠を外すことを決断。今後同社のサッカーゲームでは『EA SPORTS FC』なるブランドが使われる。ただし名前は外しても、サッカー連盟FIFAとの関係は継続。300を超えるライセンスパートナーと契約し、100以上のスタジアムと30を超えるリーグ、700以上のチームが登場する。プレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエAといったリーグの独占パートナーシップ契約も継続。また既存のゲームモードはすべて継続される。『FIFA』シリーズの強みであった、ライセンスやゲームモードは継続しつつ、さらなる強化がはかられるようだ。

『FIFA』シリーズは今年で最後となり、来年夏からは『EA SPORTS FC』として展開されていく。『FIFA』は欧米圏で大人気シリーズであり、EAの収益面で多大な貢献を果たしてきた。ゲームタイトル『FIFA』の冠を外した後も、その勢いは保持できるのか。注目が集まる。