とある開発者、新作ゲームの“公式海賊版”を発売日より配信すると発表。ただしタダより高いものはない


個人開発者Ariel Jurkowski氏が開発し、6月配信予定の『Please Fix The Road』。同作では、発売日より公式海賊版が配信されるようだ。自身のTwitterアカウントにて明かしている。Jurkowski氏なりの狙いがあるようだ。


『Please Fix The Road』は、道路を修理するパズルゲームだ。タイル状のマップに、道路パネルを置き、車や列車などが移動できるようにするのだ。道路は回転させたり複製したりするほか、ときにはあえて道路を壊すなど、さまざまな工夫を凝らしながら道を作り上げいくのだ。ゲーム内は日本語表示に対応する。

同作はPC(Steam/GOG.com/itch.io)にて2022年6月に配信予定。さらに、発売日より“公式海賊版”がBitTorrentで配信されるという。つまり、正規で販売される『Please Fix The Road 』のほかに、無料で同作を手に入れることができてしまう手段が用意されるわけだ。発売日の時点で公式に海賊版が配信されるというだけで驚きだが、さらにこの海賊版はゲームをフルに遊べるなど、制限がないというのだ。


しかし、タダより高いものはない。海賊版には独自の仕様が施されている。まず、ゲーム開始時に聞こえるテーマソングが“海賊版仕様”になっているという。またゲームの導入部分も変更されているとのこと。メニューアイコンの歯車は、海賊の顔になっているそうだ。またゲームのアップデートも受け取れない仕様だという。さらに、ゲームを買うという項目も特別に用意されるそうだ。実際に該当シーンが公開されていないので、どのような仕様か不明。しかしながら、説明から推察するに、「海賊版をプレイしている」と認識させられる演出になっているのだろう。

ただし、Jurkowski氏は海賊版を咎めたいわけではないようだ。自身のゲームはいつかはクラックされるだろうとしつつ、仕方ないことだとコメント。公式海賊版を用意することで、(本作を買う余裕がないであろう)誰かが感謝してくれることや、PR面で恩恵を受けることをほんのり期待していると語った。またJurkowski氏はPC Gamerに対し、この公式海賊版は興味深いというだけでなく、消費者フレンドリーにするという意図もあると語っている。海賊版でゲームを遊ぶことそのものにも、同氏は一定の理解を示しているようである。


過去作の海賊版向けギミックとしては、ゲーム開発会社シミュレーション『Game Dev Tycoon』では、海賊版を遊んでいると、ゲーム内で開発しているタイトルが海賊行為に遭い、破産するという痛烈な皮肉を含むギミックが導入されている。そうした過去の対策事例にも影響を受けているとのことである。ただし、本作は海賊版ユーザーに意地悪するというよりは、特殊な演出を仕込みつつ、ある種海賊版ユーザーに迎合するというスタンスも垣間見える。「海賊版は発生するもの」というJurkowski氏の諦観の結果かもしれない。

『Please Fix The Road』は、PC(Steam/GOG.com/itch.io)向けに6月配信予定で、日本語に対応予定。価格は10ドルほどになるそうだ。また海賊版も発売日より配信予定である。ゲームが気に入ったら、ぜひ製品版を購入しよう。