『Call of Duty: Vanguard』の不振は「第二次世界大戦」にゲーマーが魅力を感じなかったからであると、Activisionが分析
Activision Blizzardは今年4月におこなった2022年度第1四半期の決算発表にて、『Call of Duty』シリーズにおける収益が前年同期より減少したとし、その要因のひとつは『Call of Duty: Vanguard』の売り上げが振るわなかったためだと言及している。その売り上げ不振について同社は、本作が第二次世界大戦をテーマにしていたことが原因のひとつと考えているようだ。海外メディアKotakuなどが報じている。
Activision Blizzardは今年4月29日、2021年のアニュアルレポートを公開した。このなかで同社は、『Call of Duty: Vanguard』は同社の期待に沿う成績ではなかったとコメント。その原因は主に同社の判断にあり、第二次世界大戦という時代設定を選択したことは、一部のコミュニティの心には響かなかったと振り返っている。また、革新的なコンテンツを届けられなかったことも、理由のひとつに挙げている。
『Call of Duty: Vanguard』は、昨年11月にPC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売。開発を担当したのは、2017年発売の『Call of Duty: WWII』を手がけたSledgehammer Gamesであり、同作以来4作ぶりに第二次世界大戦を描く作品となった。
『Call of Duty: WWII』は比較的高い評価を獲得し、売り上げの面でも成功した作品だった。発売から3日間で5億ドル、同年末までに10億ドルの収益を上げ、2017年発売作品のなかで北米でもっとも売れた作品となっている。一方で『Call of Duty: Vanguard』は、評価の面では伸び悩み、売り上げについては先述したとおりである。イギリスでの発売初週売上が、前作『Call of Duty: Black Ops Cold War』の記録を40%下回ったとの調査結果も報じられている(パッケージ版とダウンロード版の合計・GamesIndustry.biz)。
第二次世界大戦というと、『Call of Duty』シリーズをはじめとするFPSなど、ゲームにおける人気コンテンツとして知られてきた。ただActivision Blizzardは、その時代設定こそが『Call of Duty: Vanguard』の不振の原因だとしている。実際ゲーマーのあいだでは、“第二次世界大戦離れ”は一部で起きているようだ。
海外メディアGamesIndustry.bizは昨年11月、「なぜあなたは『Call of Duty: Vanguard』を買わなかったのか?」というアンケートを実施。その結果によると、回答者の24%が「第二次世界大戦の設定に魅力を感じない」ことを理由に選んでいる。ちなみに回答者は、ゲームイベントEGX(イギリス)およびPAX(アメリカ)を訪れた“ハードコアゲーマー”とのこと(関連記事)。
このアンケートでは、「ほかのゲームをやるので忙しいから(55%)」や「『Call of Duty』シリーズに飽きてしまった(34%)」といった回答も多く寄せられた。必ずしも第二次世界大戦という設定であることだけが、売り上げ不振の理由というわけではないことがうかがえる。そういう意味ではActivision Blizzardがいう“革新性”も、時代設定と同じくらい、あるいはそれ以上に大きな要素として捉えることができそうだ。
Activision Blizzardは、『Call of Duty』シリーズの最新作として『Call of Duty: Modern Warfare II』を今年発売する。Infinity Wardが開発を担当する、2019年発売の『Call of Duty: Modern Warfare』の続編だ。今回のアニュアルレポートにて同社は、『Call of Duty: Vanguard』での問題に取り組んだうえで新作をローンチさせるとし、シリーズでもっとも野心的な作品になると宣言している。どのような作品となるのか正式発表が待たれる。