中裕司氏、低評価に終わったゲーム『バランワンダーワールド』の発売前にディレクターを外されたとしてスクエニを訴訟。同作は未完成品と主張

 

ゲームクリエイター中裕司は4月28日、自身のTwitterアカウントで、スクウェア・エニックスを相手に訴訟を起こしてしていたことを報告した。裁判はすでに終わっているという。中氏が関わっていたとされていたスクウェア・エニックスのゲーム『バランワンダーワールド』の発売半年前に、中氏はディレクターを外されていたようだ。
【UPDATE 2022/4/28 22:15】
「訴訟した」としていた表現を「訴訟を起こしていた」へと修正


『バランワンダーワールド』は、2021年3月に発売されたアクションゲームだ。同作が発表されたのは2020年7月のこと。『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』や『ナイツ NiGHTS into Dreams…』を手がけた中裕司氏が、スクウェア・エニックスにてディレクターを担当。同じく『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』や『ナイツ NiGHTS into Dreams…』にかかわる大島直人氏が率いるアーゼストと、スクウェア・エニックスが共同で開発を進めると発表されていた。プロデューサーとしては、『ドラゴンクエストビルダーズ』なども監修した藤本則義氏が担当していた。

中氏と大島氏のコンビによる3Dアクションということで期待を集めていたが、体験版配信から評価を獲得できなかった。キャラの操作性やカメラの挙動といった操作のベーシックな面に不満が寄せられ、衣装システムの扱いづらさなども含め、ゲームとしての爽快感を欠いており、かつ操作も洗練されていないとして、厳しい評価を受けた。体験版で受けた課題の一部は製品版では修正。しかし、レビュー集積サイトMetacriticのメタスコアは、PS5版こそ51点あるが、ほかのハードでは40点前後とかなり低めとなった。


『バランワンダーワールド』は公式ブログ更新も発売前の3月15日で止まっているなど、かなりいわくつきのゲームになりつつある。そしてこのたび中裕二氏が、同作の裏側を暴露。低い評価を受けた理由として、自分が発売半年前にディレクターを外されていたからだとTwitterで訴えたわけだ。

詳細は不明ながら、中氏はスクウェア・エニックスを提訴しており、その裁判は終わっているという。中氏のツイートはかなりとりとめもないが、内容をかいつまもう。結果からいうと同氏は、半年前にプロデューサーや取締役といった面々によってディレクターを外されたと主張している。

その背景としては、さまざまな事件をあげている。中氏いわく、開発会社アーゼストが不具合を修正せずゲームを送ってくることに対し、中氏が意見。そうした意見によってアーゼストとの関係が崩壊したと、裁判資料には書かれているそうだ。またプロモーションとして、(おそらくスクウェア・エニックスが)ゲーム楽曲のピアノアレンジの譜面を公開しようとしたところ、中氏はオリジナルの曲の譜面を公開したいと主張。こちらもトラブルになったと、中氏は語っている。

また中氏はSNS上で『バランワンダーワールド』についてのRTやイイネをすることも禁止されていたとのこと。過去に携わった人気作『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の開発を振り返り、マスターアップの直前にゲームの質を高めていたと振り返りつつ、自分が完成際にいなかったことを踏まえて、『バランワンダーワールド』を未完成品と呼んでいる。


そのほか、中氏はさまざまなエピソードを語っているが割愛する。同氏のTwitterアカウントを見てみるといいだろう。これらの主張は、あくまで中氏の主張である。スクウェア・エニックス側にはまた異なる主張があることだろう。その反論を待ちたい。発売から1年が経ち、忘れ去られていたところに、急にクリエイターたちの係争の話が出ることになった『バランワンダーワールド』。一番浮かばれないのは、同作を購入したファンであるという点に、疑いはない。




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