「かぐや様は告らせたい」と『雀魂』コラボに「藤原千花」がいない謎。「中国で『書記』はNG」との噂は嘘か真か 


Yostarは4月27日より、同社が運営する麻雀ゲーム『雀魂-じゃんたま-』にてTVアニメ「かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」(以下、かぐや様は告らせたい)とのコラボを実施する。ところが、このコラボ内容について、ある違和感があるとして話題になっているようだ。 
 

 
『雀魂-じゃんたま-』は、中国のデベロッパー・キャットフードスタジオが開発と運営を手がけるオンライン対戦麻雀ゲームだ。国内ではYostarが2019年より運営をおこなっている。ゲーム内容としては、日本式麻雀(リーチ麻雀)のルールを採用しており、四人麻雀と三人麻雀がプレイ可能だ。基本プレイ無料ながらガチャ要素も存在し、プレイヤーのアバターとなるキャラクター(雀士)のほか、 麻雀牌・マット・立直棒の色や形状を変えられる装飾品といった要素もある。 

一方、「かぐや様は告らせたい」は2022年4月よりTOKYO MXなどで放映中のTVアニメだ。赤坂アカ氏による漫画「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」が原作。同作では、エリート校・秀知院学園の生徒会にて、副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行の恋愛模様が描かれる。互いに惹かれ合っている二人だが、それぞれのプライドが高すぎるため、自分から告白することができない。やがて、「いかにして相手に告白させるか」という駆け引きに発展し、双方が権謀術数の限りを尽くすこととなる。漫画版はシリーズ累計1750万部を突破するヒット作。先述したアニメ版も第三期にあたり、国内外で人気を集める作品だ。 

そうした『雀魂-じゃんたま-』と「かぐや様は告らせたい」が、4月27日よりコラボレーションを実施する。コラボ雀士として、四宮かぐや・白銀御行・早坂愛・白銀圭という4人のキャラクターが登場。また装飾品としても、「かぐや様は告らせたい」にゆかりのあるアイテムなどが手に入るようになる。一見するとファンにとっては嬉しいキャンペーンだが、一部ユーザーからはある違和感が指摘されている。コラボ雀士のなかに、メインキャラクターの一人・藤原千花の姿がないのだ。 
 

 
藤原千花は、「かぐや様は告らせたい」にてヒロインとされる人物。生徒会では書記を担当しており、かぐやとは中等部時代からの友人でもある。ファンからの人気はメインヒロインのかぐやにも迫るほどで、彼女をフィーチャーしたTVアニメのエンディング映像「チカっとチカ千花っ♡」はYouTubeにて2800万回以上再生されている。「かぐや様は告らせたい」を語るうえでは欠かせない存在である千花であるが、先述のとおり、なぜか『雀魂-じゃんたま-』ではコラボ雀士として登場していないのだ。 
 

 
その理由としてまことしやかに囁かれているのが、千花の愛称である。彼女は生徒会でのポジションから、しばしば「藤原書記」との通称で呼ばれることも多い。ところが、この「書記」というワードが規制に引っかかったのではないかとされているのだ。『雀魂-じゃんたま-』は先に述べたとおり、中国のスタジオを開発・配信元としている。そして、一部のユーザーは「書記」という単語が中国で規制対象になるのではないかと見ているのだ。中国共産党のトップである習近平氏の肩書は「総書記」。そのため、習氏以外が書記という単語を使うことは忌避されているという説である。 

実際のところ、中国では本当に「書記」は“NGワード”なのだろうか。弊社アクティブゲーミングメディア社員の中国出身スタッフに聞いたところ、「書記」は基本的には普通の名詞であり、公共の場での使用が“NG”とされる単語にはあたらないとの回答を得られた。一方、中国共産党を揶揄する解釈にもつながる可能性はなくもないとのこと。そのため、中国政府から審査を受けて“お墨付きをもらう”ゲームライセンスを取得する場合は、書記という言葉の要素を含まないほうが無難であるとの見解が伝えられた。 

また別の中国出身スタッフに聞いたところ、異なる視点からの回答を得た。書記というのは、前述したように中国では最高権力者を示す言葉。そして最高権力者である書記は、中国では「完璧な存在」として考えられているという。力強く完璧というイメージがあるので、千花のように「豊満な体形のドジっ子キャラ」をあてがうのは、かなりリスクがあるのではないかと推測を伝えた。 
 

https://twitter.com/kaguyasamaten/status/1517729983715856386

 
ただし「かぐや様は告らせたい」自体は中国でも人気があり、アニメ二期もアプリ限定でbilibiliにて公式に放送されている。千花のダンスも好評であるほか、役職としても「书记(書記)」で通っているそうだ。ただし、ゲームライセンスは中国政府の極めて厳しい審査を通過する必要があるため、アニメとゲームでは許容範囲が異なるケースもありそうである。 

結局のところ千花が『雀魂-じゃんたま-』に出演できなかった本当の事情については不明なままだ。とはいえ「かぐや様は告らせたい」屈指の人気キャラクターの欠席は、一部の人にとっては不自然に映り、ファンからは裏の事情を憶測する声が出てきたのだろう。『雀魂-じゃんたま-』と「かぐや様は告らせたい」のコラボは4月27日より開始予定。そして千花の活躍については、毎週金曜日24時よりTOKYO MXなどで放映中のTVアニメにて刮目できる(地域によって変更あり)。 




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