『スターフォックス』元開発者、『スターフォックス ゼロ』のSwitch移植をお願い。元開発者が任天堂におねだりする面白パターン


元任天堂/現フリーランスの今村孝矢氏は4月21日、『スターフォックス ゼロ』のNintendo Switchへの移植をおねだりした。またアニメーションの続編を作るのであれば、シナリオとコンテを担当するとしている。


今村孝矢氏は、かつて任天堂に在籍していたクリエイターだ。アートディレクターやプロデューサーとしてさまざまなタイトルに携わってきた。主に『F-ZERO』シリーズや『スターフォックス』シリーズを監修。また『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』にはアートディレクターとして関わっており、チンクルの生みの親としても有名である。同氏は2021年に任天堂を退社し、現在大阪国際工科専門職大学で教員をしながら、フリーランスとして活動中だ。

今村氏は4月21日になり、自身のTwitterアカウントにて『スターフォックス ゼロ』のNintendo Switchへの移植をおねだりしている。同作は4月21日で発売6周年を迎える。周年にちなんで『スターフォックス ゼロ』の移植を希望表明したようだ。『スターフォックス ゼロ』は2016年4月に発売されたシリーズの最新作。開発は、任天堂と共にプラチナゲームズが担当。プラチナゲームズの神谷英樹は、かねてから同シリーズの新作開発を希望しており、夢のコラボレーションとなった。なお神谷氏によると、『スターフォックス ゼロ』の開発については、プラチナゲームズが仕事を受けた際にはすでにゲームデザインがされた状態だったという。


『スターフォックス ゼロ』は、シリーズの特徴を継承しつつ、現代的に『スターフォックス』シリーズを表現。グラフィックは丁寧で、シューティング部分も爽快。ただし、Wii Uゲームパッドやジャイロ利用など、コントロールのギミックを活かそうとする操作面の設計は賛否が分かれることに。こうした経緯で評価もやや割れることになったほか、発売時にWii U自体の勢いが失われていたこともあり、輝いたとは言い難い結果となった。なお同作においては、今村氏はスーパーバイザーとして参加。同ゲームのスピンオフアニメ『スターフォックス ゼロ ザ・バトル・ビギンズ』についても監修として参加している。

『スターフォックス ゼロ』があまり輝けなかった理由としては、前述したように、操作面での課題とWii Uというプラットフォームがあげられる。全世界に広く普及しているNintendo Switch向けにリリースし、通常のコントローラーで遊びやすくすれば、ほかのWii Uからの移植タイトルと同様に、さらに多くのプレイヤーに愛される可能性はあるだろう。


シリーズに携わり続けた今村氏としても積年の想いがあるのかもしれない。今村氏はアニメーションについては、続編が出るならばメンバーは続投してと要望。自身もシナリオやコンテも担当するとしており、並々ならぬ意欲を感じさせる。教員として活躍する傍ら、まだまだクリエイターとしての情熱も衰えていないのかもしれない。同ツイートは反響を呼んでおり、すでに500近いRTが寄せられている。なかには、『スターフォックス ゼロ』ではディレクターを務めた元プラチナゲームズの橋本祐介氏も、アンドルフを思わせるシルエットのイラストを添えて、今村氏の投稿をRTしている。


関係者が販売元におねだりするというのはなかなか面白いパターンである。『スターフォックス』に長く携わり、シリーズを愛し続けてきた今村氏だからこそ、その発信は支持されるのかもしれない。実際のところ、この動きによって任天堂が動くかは不透明。しかしながら、少なくとも、今村氏の投稿によって、『スターフォックス ゼロ』への注目は高まったことだろう。Wii U向けに最適化されていたところが多く、なかなか移植は難しそうであるが、どのような結果をたどるのか。しばらく動きのない『スターフォックス』シリーズの今後はいかに。



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