「あれ実は私なんです」タグに、ゲーム業界の裏話が大集結。誰もが知ってるアレの、誰も知らないエピソード 

国内Twitterにて、「 #あれ実は私なんです」とのハッシュタグが流行。ゲーム業界からもさまざまな人物が集結し、思いもよらないトピックの起源が集まっている。

国内Twitterにて、「 #あれ実は私なんです」とのハッシュタグが流行している。同タグでは、誰もが知ってはいるものの、その起源についてはあまり知られていなかった事象が集合。その作者や発祥となった人物が名乗りを上げるといったブームが巻き起こっている。アニメの名シーンの原画担当者や、人気のおもちゃのデザイナーなどが集まり、貴重な裏話を聞けるハッシュタグとなっているのだ。こうしたなかでは、ゲーム業界からもさまざまな人物が集結。思いもよらないトピックの起源が集まっている。
  

 
元ガイナックスのたまさん大王こと玉谷純氏は、自身が『ドラゴンクエスト』シリーズで手がけた仕事を公開。ロトのつるぎや天空のつるぎ、天空の盾などを自身がデザインしたことを明かしている。経緯としては、もともとガイナックスと合併する前のゼネラルプロダクツにて、主力商品「1/1ソフビレプリカキットシリーズ」の新作として剣モチーフが選ばれ、『ドラゴンクエスト』のロトのつるぎが制作されることとなった。当時は公式なデザインが存在しておらず、玉谷氏が資料を集めて描き起こしたという。デザインをエニックスに持ち込んだところ、そのまま気に入られ、商品化と同時に『ドラゴンクエスト』公式の一連のアイテムデザインを発注されるようになったそうだ。 
 

 
続いての投稿は、元カプコンの小嶋慎太郎氏によるツイート。同氏は『モンスターハンター』シリーズに第1作目から携わり、『モンスターハンタークロス』や『モンスターハンターダブルクロス』ではメインプロデューサーを務めている。そんな小嶋氏が明かしたのは、『モンスターハンターポータブル 2nd』および『モンスターハンターポータブル 2nd G』の秘密。両作に登場する訓練所の教官は、小嶋氏がボイスを担当していたという。教官といえば、モンスターの討伐練習クエストなどで何度もお世話になる人物。「よしっ!」という声が耳に残っている人も多いことだろう。 

小嶋氏によれば、『モンスターハンターポータブル 2nd G』までは、ハンター・NPCなどのボイスは社内でオーディションを実施。採用された人のボイスを使用していたという。小嶋氏のボイスは、男ハンターの声にも採用されたそうだ。『モンスターハンター 4G』などの大長老も小嶋氏が声優を担当。ちなみに、おなじみの「上手に焼けましたー」とのボイスもカプコン社内スタッフが担当していたそうだ。このほか、作編曲家の小見山優子氏も『モンスターハンターポータブル 2nd』および『モンスターハンターポータブル 2nd G』における女性ハンターの声として名乗りを上げている。
  

 

 
こちらはゲームファンの間で今なお語られる、迷誤植にまつわる裏話。1996年、セガからBPR GT選手権を題材としたアーケードゲーム『スカッドレース』がリリースされた。そして、同作を特集する記事を掲載したのが、新声社から発行されていたゲーム雑誌ゲーメストである。同誌は第193号(1997年4月30日刊)にて、『スカッドレース』の記事を掲載。そこで誕生したのが、「くお〜!! ぶつかる〜!! ここでアクセル全開、インド人を右に!」という謎のキャプションである。 

「インド人を右に」というフレーズは、本来「ハンドルを右に」と記載されるべき箇所だったという。しかし、読みづらい手書き原稿を校正せず入稿したため、「ハンドル」が「インド人」と誤読され写植されることに。そのまま校正する時間もなく掲載されてしまったようだ。Twitterでは、その当時に画面写真撮影を担当したというfumitang氏がことの顛末を明かしている。くわえて、該当写真に映り込むヴァイパーをモデリングしたというPIRO氏も名乗りを上げ、さながら同窓会のように関係者が集合している。 
 

 
こちらは、漫画家の宮尾岳氏による投稿。貴重な『スーパーマリオ』のレトログッズの画像である。しかしよく見ると、ある違和感に気づくだろう。そう、ピーチ姫のデザインが、今とは異なる画になっているのだ。カールが象徴的なブロンドは、ストレートに。メイクも現在のものよりナチュラルな印象に仕上がっている。宮尾氏によれば、グッズの仕事を受注した時点で公式に用意されていたピーチ姫のデザイン画は、ゲーム本編に登場するドット絵と、ファミコンソフトのパッケージに小さく描かれていたイラストのみ。女児への訴求力に欠けると判断した宮尾氏が、独自にピーチ姫のデザイン画を描きおろし、任天堂へFAXを送って許諾をとったそうだ。当時のグッズをもっているユーザーにとっては、味わい深い逸話といえるだろう。 
 

 
このほか、3DデザイナーのMOKA CG氏も名乗りを上げている。同氏が手がけたのは、『ストリートファイター V』のキャミィのモデリングだそうだ。『ストリートファイター V』は2014年に初報があったのち、2015年のE3にてさらなるトレイラーが公開された。そこで初お披露目となった一人がキャミィだ。ここで登場したキャミィは、メイクが薄めで、かなりリアル寄りの印象。国内からは、「あまり可愛くない」との意見が噴出し議論となった。そこで、MOKA CG氏がキャミィのモデルの修正を手がけたようだ。修正後のキャミィはアイラインが強調され、唇もよりぽってりするなど、かなり印象が変わっている。ユーザーの声を取り入れた変更も、MOKA CG氏のように修正を手がける人あっての仕事だったわけだ。 

これ以外にも、「あれ実は私なんです」タグには、業界内外からさまざまな知られざるエピソードが寄せられている。我こそはという秘蔵の過去をおもちの方は、この機に逸話を蔵出ししてみてはいかがだろうか。 




※ The English version of this article is available here

Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

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