Unreal Engine 5正式リリース。次世代の大規模コンテンツ開発を可能とするゲームエンジン、新機能などをおさらい

Epic Gamesは4月6日、Unreal Engine 5を正式リリースした。ゲーム開発におけるゲームエンジンとして、またさまざまなクリエイティブの現場で使用されてきたUnreal Engineが、ついに新たな世代へと本格移行する。

Epic Gamesは4月6日、Unreal Engine 5(以下、UE5)を正式リリースした。ゲーム開発におけるゲームエンジンとして、またさまざまなクリエイティブの現場で使用されてきたUnreal Engineが、ついに新たな世代へと本格移行する。

UE5についてEpic Gamesは、大規模チームでも小規模チームであっても、またビジュアル面でもインタラクティブ面においても、可能性の限界に挑戦できるようにすることを目指しているとコメント。次世代のリアルタイム3Dコンテンツや体験を、これまで以上に自由かつ高い忠実度で、そして柔軟に作成できる力を提供するとしている。

UE5に導入された主な新機能としては、完全に動的なグローバル イルミネーション ソリューション「Lumen」がまず挙げられる。直接ライティングやジオメトリの変化に対して、間接ライティングが適合するリアルなシーンのオンザフライでの作成を可能にする。ライトマップUVの作成、ライトマップのベイクの待ち時間、反射キャプチャの配置は不要とのこと。

仮想化マイクロポリゴン ジオメトリ システム「Nanite」では、膨大なジオメトリックディテールを備えたゲームなどの制作を可能にする。インポートしたアセットを数百万個設置しても、見た目の忠実度を損なわずに、リアルタイムのフレームレートを維持できるという。

「仮想シャドウマップ(VSM)」は、これらLumenおよびNaniteと上手く連携するように特別に設計。適正で制御可能なパフォーマンス負荷にて、もっともらしいソフトシャドウを実現可能とのこと。また、プラットフォームに依存しない高品質なビルトインのアップサンプリングシステム「Temporal Super Resolution(TSR)」も用意される。


Epic Gamesが継続して目指しているゴールのひとつとして、オープンワールドの作成を高速かつ簡単に、またどのような規模のチームにとっても共同作業しやすいものにする、ということがあるという。UE5では、そのために「World Partitionシステム」を用意。ワールドは自動的にグリッドに分割され、必要なセルがストリーミングされるといったかたちで、レベルの管理などをおこなえる。

また「One File Per Actor(1アクタあたり1ファイル)システム」によって、チームメンバーは同一ワールドの同一の領域について、同時に作業可能に。さらに「Data Layers」では、ひとつのワールドについて複数のバリエーションを作成できる。

このほか、内部で倍精度値を使用する「Large World Coordinates(LWC)」の初期サポートも導入。リベースやほかのコツを必要とせず、非常に広大なワールドを作成するための土台になるとのこと。


アニメーション作成に関しては、Unreal Editor内で直接作業ができるようになった。ビルトインツールとしては、まず機能強化された実制作対応の「コントロールリグ」があり、リグを素早く簡単に作成して、複数のキャラクター間で共有可能。そして、それをシーケンサーでアニメートしたら、新しい「ポーズブラウザ」でポーズを保存・適用するかたちとなる。

既存のアニメーションを素早く簡単に再利用・拡張できる、新たなリターゲッティング ツールセットも用意。「IKリターゲッタ」を使用すれば、スケルトンとプロポーションが異なるキャラクター間でアニメーションを転送可能だ。

このほか、速度や地形の違いなどのゲームプレイ状況を補うように、ランタイム時にアニメーションを調整するために利用できる新機能も搭載。キャラクターのルートモーションを動的に調整できる「Motion Warping」や、アニメーションの再生レートを制御する「距離マッチング」、ポーズを動的に調整できる「ポーズ ワープ」がある。


UE5では、メッシュモデリングやUV編集、ベイクのツールセットについても、大幅に拡張および強化されているという。そしてそれらを組み合わせることで、アーティストがUnreal Editor内でアセットを開発および調整できる、強力なワークフローが形成されるとのこと。

メッシュの作成および編集用には、多数の新規ツールと機能強化ツールを用意。UV編集ツールのスイートや、ベイクおよびメッシュ属性のツールセットも、大幅にアップデート・拡張をおこなっているという。

このほか、エディタUIとワークフローの強化として、Quixel Bridgeが完全に統合。Megascansライブラリ全体に直接アクセスできる。また、ホットキーやボタンでコンテンツブラウザを簡単に呼び出して格納する機能や、探しているプロパティにより素早くアクセスできる「Details(詳細)」パネル、頻繁に使用するプロパティをパネルに保持する「お気に入りシステム」なども備わっている。


オーディオ制作に関しては、サウンドソースからオーディオDSPグラフでの生成とフルコントロールを提供する、高パフォーマンスのシステム「MetaSounds」を用意。オーディオレンダリングのすべての面の管理から、次世代プロシージャルオーディオ体験の駆動までを実現するという。

また、UE4.27で導入された「パストレーサー」については、安定性やパフォーマンス、機能の完全性が向上。ヘアプリミティブや目のシェーダーモデルのサポート、サンプリング、BRDFモデル、光のトランスポート、サポートされているジオメトリなどでの改良もおこなわれているそうだ。


UE5の正式リリースにあたり、無料のサンプルプロジェクトが2種類公開されている。ひとつは「Lyra Starter Game」と呼ばれるもので、新規ゲームの制作における実践的な学習リソースとして役立つという。最新のベストプラクティスの実例を示すため、今後も継続的にアップグレードされる予定となっている。

もうひとつは「Cityサンプル」。映画「マトリックス」の世界をUE5で再現したPS5/Xbox Series X|S向け技術デモ『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』の都市シーンが、どのように制作されたのかを示す内容になっているそうだ。完全なサンプルのほかに、コンテンツごとの個別のパックも提供。車両だけをダウンロードすることも可能とのこと。

このほかにも、UEマーケットプレイスではUE5対応の有料・無料のコンテンツがリリース。世界中のクリエイターの手により、今後さらに充実していくことだろう。

Unreal Engine 5のさらなる詳細およびダウンロードについては、公式サイトを確認してほしい。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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