集英社は3月31日、株式会社集英社ゲームズを設立したと発表した。会社は2月16日に設立されており、すでに活動が始動している模様。マンガや小説、情報誌などを出版してきた老舗会社は、このたびゲーム事業に本格的に取り組むようだ。
集英社ゲームズの事業展開は大きく分けてふたつ。ひとつめは、これまでにも展開されてきた集英社ゲームクリエイターズ CAMP の支援事業の拡大だ。同プロジェクトでは、ゲームに関わるクリエイターを発掘および支援している。チーム編成やセミナーなどの案内、パートナー企業などの紹介、開発宣伝サポートなどをおこなう。すでに多彩なタイトルが支援されており、登録クリエイターは4000名を超え、支援タイトルは10以上。『Captain Velvet Meteor: The Jump+ Dimensions』、『ONI(仮)』、『浮世/Ukiyo』などの作品リリースを控えている。これらのプロジェクトが拡大されるようだ。
もうひとつの事業展開は、新規大型タイトルの創出。ゲーム会社と協業することで、新たなIPを生み出すねらいだろう。すでに、週刊少年ジャンプの作家やゲーム企業を巻き込んだスマートフォンゲームや、国内大手企業/デベロッパーとのマルチプレイゲームが開発中とのこと。
集英社ゲームズの社長には集英社の廣野眞一氏が着任。取締役には、かつて週刊少年ジャンプやジャンプスクエアの編集長を務めた集英社の茨木政彦氏、同じく過去に週刊少年ジャンプの編集長を務めた瓶子吉久氏。芸能誌などに携わり人事なども担当する集英社の北畠元一氏、編集などを経て新規事業開発を担当する高橋雅奈氏らが並ぶ。いずれの面々も集英社の上層部だ。
一方で、集英社ゲームクリエイターズ CAMPに携わった面々も参加。かつてソニー・インタラクティブエンタテインメントに在籍し、ゲームやろうぜ ! 2006やPlayStation C.A.M.P!を主宰するなど、人材と才能の発掘に定評のある山本正美氏が執行役員としてゲーム制作統括を担当。集英社ゲーム事業の牽引役ともいえる森通治氏は、執行役員としてプロモーション・経営管理統括をするという。
集英社ゲームズは今回の設立に際し、集英社がこれまでマンガ家育成や発掘で培ったノウハウを、クリエイター支援に活かすと報告。またゲーム制作に関しては、マンガ家、小説家、映像作家、イラストレーター、サウンドクリエイターらとのコラボを支援することで、独自性の高いゲームを生み出すことを助けたいとしている。
編集とゲームは、ワードだけでいえばやや立ち位置的は遠いものの、直近では実績が生まれつつある。WSS playgroundの斉藤大地氏はゲーム編集者として、『幻想郷萃夜祭』『ロードス島戦記-DiWL』『NEEDY GIRL OVERDOSE』といった、既存IPの活用や非ゲームクリエイターの巻き込みによってヒット作を生み出している。集英社の人材発掘と編集、そしてクリエイターの巻き込みによって、新たな可能性が生まれる余地は大いにあるだろう。
出版社でいえば、講談社もまたゲームクリエイターズラボを立ち上げて開発者を大規模に支援している。両社は似たことをしているようで、毛色は異なる。大手出版社たちの参入により、個人クリエイターたちの活躍の場は広がっていくのかもしれない。
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