『星のカービィ ディスカバリー』で「くちうつし」ができず悲しむ人続出。ワドルディと「チュッ」ができない
今月3月25日に発売を迎えた『星のカービィ ディスカバリー』。本作は本編シリーズでは初となる3Dアクションを採用した。奥行きのある世界を舞台に、カービィが縦横無尽に駆けまわる姿を描き出している。新アクションとしては、自動車や三角コーンなどをカービィがほおばって発動する、ほおばりヘンケイが登場。おなじみのコピー能力もさまざまな姿に進化するなど、アクションの幅が広がっている。そして本作では、2人までの協力プレイが可能。コントローラーを複数接続することで、カービィとバンダナワドルディのふたりを操作してプレイが可能となっている。
シリーズを変革する際には、当然消えてゆく要素もつきものである。高い評価を受ける『星のカービィ ディスカバリー』だが、とある小さな要素が廃止され、一部ユーザーに惜しまれているようだ。その要素とは、「くちうつし」である。カービィはフィールドで食べ物を拾うと体力を回復することができる。その際、仲間と回復をシェアすることが可能。このとき、カービィが仲間のそばまでやってくると、チュッとキスするかたちで回復を分け与えることが可能だったのだ。微笑ましい、協力アクション時のお約束であった。
ところが『星のカービィ ディスカバリー』では、このくちうつしが存在しない。もちろんカービィが食べ物をとれば、2Pのバンダナワドルディに回復を分け与えることができる。しかしそのときのアクションは、ハイタッチ。シリーズ伝統のくちうつしを見ることは叶わないのだ。これはこれで可愛らしい一方、おなじみのアクションが見られないのは寂しくもある。そのために、ネット上では旧来のくちうつしを惜しむ人々が登場しているのだ。それほどカービィたちのキスを気に入っていたユーザーが多いということだろう。どこか熱気を感じさせる。
*ハイタッチのシーンを目撃し、新規ユーザーは何も思わないが、古参ユーザーは絶望するだろう、と揶揄する書き込み。
*スーパーファミコン『星のカービィ スーパーデラックス』は、くちうつしがあるために『星のカービィ ディスカバリー』より優れている、とするツイート。
なぜカービィがくちうつしをしなくなったのか。もしかすると、3D化にともない、くちうつしの場面がさまざまな角度から見えかねない状況になってしまったからかもしれない。あるいはコロナ禍の時世としても考えられそうであるが、あまりカービィの世界で現実の事情は考えたくないものである。なお任天堂にくちうつしがなくなった理由について尋ねたところ、「ゲーム内における演出の開発意図などについて個別にお答えしておりません」とのことであった。
最新作では残念ながらカービィのくちうつし姿を見ることは叶わないが、だからといってくちうつし文化が途絶えてしまったわけではない。タカラトミーアーツから4月に発売される「星のカービィ 30th ぬいぐるみミニマスコット」には、全10種のポージングのカービィを収録。そのなかに、くちうつし中のカービィの顔がラインナップされているのだ。大変貴重な、正面からのくちうつし顔である。『星のカービィ ディスカバリー』で涙をのんだ諸氏は、こちらのカービィとともに存分にチュッを楽しんでみてはいかがだろうか。
※ The English version of this article is available here