PS4/PS5『グランツーリスモ7』ユーザー評価が大きく低下中。長時間メンテや課金要素などが影を落とす

『グランツーリスモ7』は発売されたばかりの本作であるが、レビュー集積サイトMetacriticに寄せられたユーザーレビューにて、ソニーが手がけたタイトルのなかで史上最低の評価となっており注目を集めているようだ。

PS4/PS5向けに販売中のリアルドライビングシミュレーター『グランツーリスモ7』。今年3月4日に発売されたばかりの本作であるが、レビュー集積サイトMetacriticに寄せられたユーザーレビューにて、ソニーが手がけたタイトルのなかで史上最低の評価となっており注目を集めているようだ。海外メディアVGCなどが報じている。

本作は、SIE傘下のポリフォニー・デジタルが開発した『グランツーリスモ』シリーズの最新作だ。シリーズの集大成として、過去150年もの自動車文化とレース文化のすべてを伝えるとして発売。世界中の60以上の自動車ブランド・400車種以上の車のほか、実在・架空含め34ロケーション・97レイアウトのコースを収録している。


『グランツーリスモ7』は、メディアレビューにて非常に高い評価を獲得。100点をつけるメディアも複数あり、レビュー集積サイトMetacriticのメタスコアは87(100点満点)を記録している。一方、同サイトに寄せられたユーザーレビューの平均スコアはというと、現時点で1.8(10点満点)となっている。前出のVGCが報じた段階では2.5だったが、5000件以上の不評が投じられ、さらに下落している状況だ。Metacriticのユーザーレビューは、ゲームの購入者でなくとも投稿できるため評価の信頼性について議論の余地がある仕組みではあるが、本作に対する不満はSNSやフォーラムなどでも確認できる。

不評の要因のひとつには、3月16日から実施されたサーバーメンテナンスが挙げられている。サーバーメンテナンスは延長を重ね、結果的に24時間以上続いた。本作では、オンラインプレイに限らず多くの要素が常時オンライン接続を求めていることから、メンテナンス中はそれらがプレイできない状況にあった。

特に欧米では、たとえばオフラインプレイであるにもかかわらずオンライン接続を求めるような仕様は、あまり好まれない傾向にある。そのうえで、本作はあまりに長時間プレイできない状況が続いたことから、ファンの不満を誘ったようだ。なおポリフォニー・デジタルによると、本作が常時オンライン接続を求めているのは、セーブデータの改ざん行為を防ぐためとのことである(Eurogamer)。


長時間続いたサーバーメンテナンスについてポリフォニー・デジタルは、予定していたアップデートにて、正しくゲームが起動できないことがある不具合を発見したためだと説明。ユーザーのセーブデータの保護を優先するために同アップデートを中止し、修正アップデートを開発することとしたため時間がかかってしまったそうだ。プロデューサーの山内一典氏はファンに謝罪している。

一方で、今回のアップデート内容の一部についても不評レビューの要因となっている。同アップデートでは、ワールドサーキット内のイベントの報酬金額が、走行時間と難易度に合わせて調整された。これにより、報酬が引き上げられたイベントも存在するが、大部分は減額。半額以下になったイベントもある。

たとえば、アメリカン・クラブマンカップ 700のスペシャルステージ・ルートXや、ダートチャンピオンズのフィッシャーマンズ・ランチは、ファンのあいだでは効率よくクレジット(ゲーム内通貨)を稼げるイベントとして知られていたが、そうした旨味はなくなった。山内氏は、「特定のイベントだけを、機械的に繰り返しプレイせざるをえない状況は、できるなら避けたい」と述べており、満遍なくイベントをプレイしてほしいという狙いがあったようだ。

ただ、ファンがそうした高効率なイベントを回していた背景には、高額な車両を購入するためという目的があった。しかしアップデートの結果、同じ金額を稼ぐにはさらに時間がかかるように。それが、少額課金にてクレジットを購入してもらうための調整だったのではないかと勘ぐられることとなり、先の不評レビューに繋がってしまった。

*eスポーツ選手のSteve Alvarez Brown氏も、現状の報酬金額設定に不満を表明。


山内氏は、「GT7では課金なしでも多くのクルマとレースを楽しんでもらいたいと考えています」と述べているものの、実態はそうはなっていないというのが不評レビューを投じたファンの気持ちのようだ。山内氏としては、「クルマの価格も、その価値や希少性を表現する大切な要素ではあるので、実勢価格とのリンクは必要です」としており、そうたやすく入手できるクルマではないということを表現したかったのかもしれない。

一方で同氏は、こうした車両の入手にかかわる状況について、コンテンツやレースイベント、機能の追加などによって発展的に解決するアップデートを今後計画しているとコメント。「多くのプレーヤーのみなさんに楽しんでいただけるよう、GT7を改良していく予定です」「長期的な視点で、グランツーリスモの成長を見守っていただけると幸いです」とも述べている。今回寄せられたファンの反応も踏まえて、どのような施策を打ち出していくのか注目されそうだ。

『グランツーリスモ7』は、PS4/PS5向けに販売中だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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