スクウェア・エニックスがRPG『ダンジョン シージ』のメタバースを提供へ。ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」と提携
ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」を運営するThe Sandbox社は3月2日、スクウェア・エニックスと提携し、RPG『ダンジョン シージ(Dungeon Siege)』のIPを用いたメタバースを提供すると発表した。
『ダンジョン シージ』は、Gas Powered Gamesが手がけたファンタジー世界を舞台とするRPGだ。のちにスクウェア・エニックスがその権利を買収し、シリーズとしては2011年発売の『ダンジョン シージ 3』までリリースされている。
「The Sandbox」は、ブロックチェーン技術を基盤としたメタバースを提供するプラットフォーム。さまざまな企業やIPと提携しており、たとえばアディダスやエイベックス、「The Walking Dead」などが挙げられる。仮想空間上にLANDと呼ばれるエリアが用意され、各企業がメタバース構築に利用。その表現方法を、ボクセルグラフィックに統一していることが特徴である。
今回のスクウェア・エニックスとの提携においては、同社が所有する「ダンジョン シージLAND」が提供され、プレイヤーはボクセル化された『ダンジョン シージ』の世界観にて、インタラクティブなRPG体験ができるようになるという。さらに、『ダンジョン シージ』のボクセルキャラクターやアイテムを、「The Sandbox」が提供する無料制作ツール「VoxEdit」「Game Maker」向けにも提供するとのこと。
「VoxEdit」は、ボクセルベースのNFT(非代替性トークン)コンテンツを作成できるツールで、制作物は「The Sandbox」のマーケットプレイスで販売可能。一方の「Game Maker」は、プログラミングの知識なしで3Dゲームを制作できるツールだ。こうしたツールで、『ダンジョン シージ』のコンテンツが利用できるようになるというわけだ。
スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長の松田洋祐氏は今年の年頭所感にて、ブロックチェーン技術を活用したNFTの登場により、一層ゲームが面白く成長する可能性が広がり、またそれによってもたらされるエコシステムが、今後のゲームの在り方の潮流のひとつになってゆくものと期待しているとコメント。将来的な自社トークン発行も見据え、事業展開を本格化させていくとしていた。
今回の提携では、The Sandbox側にコンテンツを提供し、そして「ダンジョン シージLAND」を所有するかたちにはなるが、松田氏が意欲を示していた取り組みのひとつであると受け取れる。
一方で、根強い人気がありながらしばらく新作が出ていなかった『ダンジョン シージ』シリーズが、“NFTコンテンツ”として蘇ったことについては、海外ゲーマーのあいだでは複雑な想いがあるようだ(ResetEra)。「The Sandbox」の「ダンジョン シージLAND」などの提供時期は不明だが、どのような評価を受けるのか注目される。