Valveのゲイブは、Steam Deckで『FF14』をやり込んでいる。Steam Deck発売に際し、自ら手がけた携帯型PCゲーム機について語る


Valveは2月26日、携帯型PCゲーム機「Steam Deck」の出荷手続きを開始した。予約者に注文受付メールを順次送信し、購入者にSteam Deckを出荷していくとのこと。今回ローンチを迎えたことを受けて、Valveの共同設立者Gabe Newell氏が海外メディアのインタビューに答えているため、いくつか発言をピックアップしたい。

Steam Deckは、Valve自ら手がけた携帯型PCゲーム機だ。Nintendo Switchのようなスタイルの本体デザインを採用し、最新バージョンのSteamOSをプリインストール。Windows向けゲームは、Protonと呼ばれる互換レイヤーによって動作するかたちとなり、ユーザーはタイトルごとの対応状況を確認できる。
 

 
Gabe Newell氏は、表立って発言することが少ない人物であるが、Steam Deckのローンチに合わせて海外メディアIGNのインタビューに答えている。それによると、Newell氏自身もかなりSteam Deckを使い込んでいるそうで、最近は『ファイナルファンタジーXIV』に多くの時間を費やしているという。

同氏は、もともとは『World of Warcraft』のファンだったそうだが、あるときレベルキャップが変更されたことをきっかけに気持ちが燃え尽きてしまい、それからはMMO自体から遠ざかっていたとのこと。しかし、彼の息子のひとりが『FF14』にハマっており、一緒にプレイしようと持ちかけられたためプレイし始めたそうだ。ヒーラーとして、息子のミニオン代わりになることがNewell氏の役目の模様である。

なお、Steam版『FF14』のSteam Deckとの互換性については、現時点では公表されていない。おそらく、Valveによるテストがまだ実施されていないのだろう。ただ上に掲載した映像にて確認できるとおり、『FF14』はSteam Deck上でスムーズに動作できているようだ。映像を公開したIGNは、メニュー画面をタッチ操作することも可能だが、キーボード&マウスを使った方がより快適にプレイできるだろうとしている。
 

 
Steam Deckを開発したきっかけについてNewell氏は、携帯型デバイスでのゲームプレイは、あらゆるPCゲーマーが望んでいたことだと語る。携帯型PCゲーム機開発への試みは1990年代からおこなわれてきたが、ようやく現実的なパフォーマンスを実現できる時代になったとしている。また、iPhoneの登場前後でモバイルコンピューティング機器の在り方が変わったことを引き合いに、Steam DeckはPCゲーム機器の領域にて同じような地点にたどり着いたと述べている。

Steam Deckは、内蔵ストレージ容量の違いなどにより399ドル(約4万6000円)から649ドル(約7万5000円)にて販売されている。同種のデバイスと比べてかなり低価格である。これは、これからPCゲームを始めたいとする人が手に取りやすい価格を意識したそうで、実現にはかなり苦労したという。そしてNewell氏は、(需要はかなり高いが)価格を引き上げることは考えていないとしている。

一方で、より高性能なモデルの追加については、すでに検討を始めているとのこと。現時点での予約状況では、一番高額な649ドルのモデルがもっとも多く売れているという。Valveとしては予想外だったが、そうした“全部入り”を求めるニーズの高さを知ったことが、検討のきっかけになったそうだ。
 

https://www.youtube.com/watch?v=AvokyBOYe8Y

 
Steam Deckのサイズは298x117x49mmであり、携帯型ゲーム機器としては大きめであることが以前話題になった(関連記事)。このサイズについてNewell氏は、非常に満足していると述べている。人によって手の大きさが異なるためさまざまな意見はあるが、素晴らしいゲーム体験のために必要なパーツを詰め込むことを前提としたうえで、最適なサイズを導き出したとのことだ。

Steam Deckは、アメリカ・カナダ・イギリスおよびEUの予約購入者向けに、本日2月26日から出荷開始される。そのほかの国・地域での発売時期は未定だが、Valveは日本とオーストラリアでの販売について、特に力を入れて取り組んでいると案内している。また、外部映像出力などをおこなえる「Steam Deckドッキングステーション」は2022年晩春に発売予定。以下の写真では、Steam Deckの背面に技適マークも確認できる。