『サイレン』外山氏らが、新作『野狗子』について質問に答える。SIEからインディースタジオを立ち上げたことによる変化とは

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国内ゲームスタジオのBokeh Game Studioは2月25日、同スタジオのQ&Aセッション動画を公開した。スタジオが開発する最新作『野狗子: Slitterhead(以下、野狗子)』について、国内外のユーザーから募った質問に回答している。 
 

 
Bokeh Game Studioは、2020年に立ち上げられた国内ゲームスタジオ。『サイレントヒル』や『サイレン』などを手がけた外山圭一郎氏のほか、『サイレン』シリーズのリードキャラクターデザインを務め、『人喰いの大鷲トリコ』ではプロデュースを担当した佐藤一信氏、『サイレン』シリーズや『GRAVITY DAZE』シリーズのリードゲームデザインを担当した大倉純也氏などが所属している。 

『野狗子』は、2021年に発表されたBokeh Game Studio作品の第一弾。アジアの世界を舞台にするアクションアドベンチャーゲームで、人に非ざる異形のモンスターが登場するダークホラーな世界観をもち、謎の力を操る人間たちとの死闘を描くとされている。 
 

 
今回のQ&Aセッション動画では、クリエイティブディレクター外山氏・プロデューサー佐藤氏・ゲームディレクター大倉氏の3名が登場。TwitterとYouTubeで国内外のユーザーから募った、『野狗子』に関する質問に回答している。 

まず「『野狗子』を作るにあたって、どのようなインスピレーションがあったか」という質問。外山氏によれば、香港という街から受けた熱気や、『サイレン』のコンセプトを再解釈したいという意図が起点になっているとのこと。また、中国の妖怪である野狗子をモチーフにした理由も語られた。外山氏によれば、現代的な分かりやすいシチュエーションとして「人を食う怪物がいる」という設定を構築するにあたり、ゾンビやクリーチャーではなく、変化球としての怪物を調べていたという。脳を食べる怪物である野狗子にたどり着き、インスパイアされたのが本作の企画の発端だったそうだ。 

ユーザーからは、「ホラーとアクションのバランス」についても質問が寄せられた。外山氏はまず、ホラーは特定のジャンルではなく、さまざまなジャンルでホラー的な表現が可能であると前置き。そのうえで、より間口を拡げて、若いユーザーやこれまでホラーを遊ばなかった層にも遊んでもらえる素地を作りたいとのこと。そのため、アクションゲームとして楽しめる設計をしっかりしつつ、単純に敵を倒すだけではない葛藤や、戦いにおける躊躇などを、アクション性・ドラマ性の双方で表現したいとしている。 
 

 
また大倉氏いわく、『野狗子』は三人称視点でのゲームになるとのこと。外山氏の補足によれば、同氏が手がけた『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動(以下、GRAVITY DAZE)』のスタッフなどを迎え入れるなかで、三人称視点アクションがもっとも強みを活かせると判断したそうだ。 

『野狗子』の恐怖演出の度合や難易度についても言及があった。大倉氏によれば、本作はエンターテイメント性を優先。「進みたくない、動きたくない」という怖さについては控えつつも、アクションゲームでありながら怖さを感じる要素は入れていきたいという。ゲームの緩急をつけるうえで、落ち着いたシーンの表現として恐怖演出を入れたい意向はあるようだ。外山氏も、難易度として理不尽な恐怖は与えたくないとしており、ある行動をすべきか否か、という葛藤をテーマとして挑戦したいとしている。 
 

 
さらにユーザーからは、「『野狗子』において、プレイヤーが異なる視点から体験することが可能か」との抽象的な質問も。外山氏は、『サイレン』の視界ジャックのようなシステムや、ストーリーを複数のキャラクターから味わえる物語構造を例に挙げつつ、「僕らとしては得意なところ」と言及。そうした要素を活用している、と示唆的に答えるに留めた。 

『野狗子』をスタジオの最初のマイルストーンとした理由についても語られた。外山氏によれば、SIEからの独立時に4~5本かの企画案があり、佐藤氏と大倉氏を交えて厳選。そうして残った企画の一つが『野狗子』の原案だったという。また佐藤氏によれば、これまで同氏らが手がけてきたゲームの規模感にもっとも近いものが『野狗子』であるとのこと。とはいえ、予算規模的にはある程度コンパクトな着地を予定しているそうだ。 

DLC展開についても語られた。『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』DLCでは独立したストーリーが語られたが、『野狗子』でも同様の実験的な試みはあるかといった質問だ。本件については一同、『野狗子』自体が実験的な作品になると言及。DLCについては、まずは本編を楽しんでもらうことに注力したいと伝えられた。佐藤氏の補足によれば、従来はSIEの承認が必要だったものでも、自社スタジオでは「面白ければやってみる」ことができると説明。DLCを望む声が大きければ、答えることも可能だとしている。 
 

 
また、働く環境に関する質問も寄せられている。大手パブリッシャーとインディーで働く違いについて尋ねられると、大倉氏が回答。何もかも自分たちでできる半面、自分たちでやらないといけないことも多く、自己責任の伴う自由であると表現した。佐藤氏もコメントを寄せており、ゲームを作ること自体はそれほど変わっていないと言及。一方、開発の周辺に関わる環境はまったく異なっているとのこと。決断すべき事項は自分たちで責任を負いつつ、スピード感をもって進められる点に充実感を感じているそうだ。 

外山氏も、自分たちの思い通りにスピード感をもって物事を進められるとコメント。とはいえ、苦しい判断も自分たちで下さなくてはならない重責も感じているようだ。全体としては、若手だったころの規模感の舵取りと通じる部分もあり、新鮮さと懐かしさを感じていると伝えている。 

ユーザーからは、「ここ1年の制作過程を振り返って、『サイレン』制作時のようなゲーム作りができているか」との問いかけも。佐藤氏によれば、コロナ禍の影響で取材をおこなえていない点は残念だという。大倉氏も続けてコメントし、新しいものを作ろうとしている点で、『サイレン』と同様の苦労を味わっているそうだ。外山氏いわく、予算の規模感やスタッフを抱える責任などがありつつ、「面白いことをやりたい」という姿勢を尊重できる点が、懐かしく楽しい点だとしている。ときには衝突することもありつつ、言いたいことを言える風通しのよさがあるようだ。 
 

 
『GRAVITY DAZE』を作った経験が『野狗子』に与えた影響についても語られた。外山氏としては集大成的な部分があるとしており、アクション性を重視した点で『GRAVITY DAZE』からのフィードバックが大きいという。ビルの高低差を活かしたアクションなどにノウハウが活きているそうだ。 

『野狗子』の対応プラットフォームや発売日は今のところ未定。ただし佐藤氏によれば、『野狗子』はパッケージ版展開も考えているとのこと。できれば初回限定のコレクターズエディションも用意したいそうだ。また今回のQ&Aセッション動画の第二弾は3月4日に公開予定である。 






※ The English version of this article is available here

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