『This War of Mine』開発元、同作の1週間の利益をすべてウクライナ赤十字に寄付。反戦の思いを込めたゲームで支援を表明

ポーランドに拠点をおくデベロッパーの11 bit studiosは2月25日、ロシアによるウクライナ侵攻について声明を発表した。同スタジオのゲーム『This War of Mine』について今後7日間、全プラットフォームでの売上をウクライナ赤十字に寄付するという。 

ポーランドに拠点をおくデベロッパーの11 bit studiosは2月25日、ロシアによるウクライナ侵攻について声明を発表した。同スタジオのゲーム『This War of Mine』について今後7日間、全プラットフォームでの売上をウクライナ赤十字に寄付するという。 
 

 
日本でも現在報道が続いているように、ロシア軍は2月24日未明よりウクライナに侵攻。ロシア側は、先日独立を承認したいわゆる親露派支配地域からの要請による特別軍事作戦だと説明している。報道によると、首都キエフなどで爆発が確認され、ウクライナ国内には戒厳令が出されているという。 

11 bit studiosはウクライナの隣国、ポーランドに拠点をおくデベロッパー/パブリッシャーだ。自社開発タイトルとしては、過酷な極寒の地を生き抜く社会サバイバルゲーム『Frostpunk』シリーズや、SFタワーディフェンスゲーム『Anomaly』シリーズなどで知られている。 

そうした開発タイトルのなかに並ぶのが、『This War of Mine』だ。同作は、民間人として戦時下を生き抜くサバイバルゲーム。プレイヤーは敵に包囲された都市で必死に生き残ることとなる。食料と医薬品の不足に苦しみ、狙撃手や敵対するスカベンジャーに常に狙われているなど、過酷な状況が特徴だ。昼間は隠れ家にて、モノを作り、交換し、生存者のケアをする。夜には仲間を引き連れて物資を集め、生存率を高めるのだ。ときには避難場所の全員を守るか、誰かを犠牲にして生き残る者を増やすかといった、難しい判断を迫られることとなる。スタジオにとって、反戦の思いを込めた作品であるとされている。 
 

 
11 bit studiosは今回の発表に際し、スタジオとしてロシアのウクライナ侵攻に反対すると明言。また言葉だけでは意味がないとして、2月25日から7日間、『This War of Mine』のすべての売上をウクライナ赤十字に寄付すると発表した。対象プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com/Humble Bundle)/海外PlayStation 4/Xbox One/海外Nintendo Switch。ゲーム本編のほか、DLCの売上も寄付されるとしている。 

11 bit studiosのほかにも、ロシアのウクライナ侵攻に際して声明を出し寄付するパブリッシャーが複数存在。たとえばスウェーデンのストックホルムに拠点をおくRaw Furyも、本件に際してTwitterに投稿した。Raw Furyは、『Bad North』や『Townscaper』などをリリースしたパブリッシャーだ。 

Raw Furyは、同社の信条の一つが「人間を人間らしく扱うこと」であることに触れ、今回のような衝突が起こったときには、これまで以上に互いに共感を示しあうことが大切だと説いた。そのうえで、Raw Furyはウクライナの市民の側に立つと宣言。ウクライナ赤十字に寄付をおこなうことを伝え、ユーザーにも支援を呼びかけている。 
 

 
また、ウクライナの情勢は個人開発者にも影響を与えているようだ。当地に拠点をおくデベロッパーの Marginal act氏は、現在クトゥルフ神話の世界観でパブを経営するシミュレーションゲーム『クトゥルフパブ』を開発中。ただし同氏の住む町は現在爆撃を受けており、今後の先行きが不透明であることから、ゲームのSteam早期アクセス配信を開始している。またMarginal act氏はウクライナ内のNGOへの支援を呼びかけている。 
 

 
数々のゲーム関連企業が声明を上げる、今回のウクライナ侵攻。当地ウクライナでは、『The Sinking City』などを手がけるFrogwaresや、『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズの開発元GSC Game Worldなども、緊迫した状況を伝えている(関連記事)。本件がゲーム業界に与える影響が懸念されるとともに、現地で暮らすスタッフやその家族の安全を祈りたいところだ。 

Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

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