オープンワールド大型MMOライフシム『Palia』は、基本プレイ無料でリリースへ。開発陣が望む、プレイヤーを尊重するマネタイズとは

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デベロッパーSingularity 6は、現在開発中のMMORPG『Palia』を基本プレイ無料で配信すると発表した。アルファ版のリリースがせまる中、開発元としてのマネタイズへのスタンスを明らかにした。

『Palia』は、MMO型のライフシムゲームだ。舞台となるのはファンタジー世界Palia。かつてエルフやロボットなど、さまざまな種族が暮らしていたが、ある日突然消え去ってしまう。そして長年の時を経て人間たちは突如また姿を現し、この地で生活するようになった。プレイヤーは人類の文明再興を目指す人間のひとり。人間はなぜ消え、そしてまたなぜ現れるようになったのか。生活を営むなかで、その謎に迫っていく。


ゲームプレイとしては、生活要素がメインになるようだ。伐採や採掘に勤しんだり、果物や野菜を栽培したり、釣りをしたり、食材を使って料理したり。自分の家を構えることもでき、部屋を自由にアレンジすることも可能。家具も多数登場するという。また世界の謎を解き明かすため、冒険に出ることもできるという。アクティビティをこなしていくとレベルが上がり、新たなアビリティやツールを得ることができるそうだ。生活するなかでは気候なども動的に変化していくという。

開発元のSingularity 6は、Blizzard EntertainmentやEpic Games、Riot Gamesなど大手ゲーム会社にて経験を積んだ開発者によって設立されたスタジオ。これまでに、さまざまなベンチャーキャピタルから資金調達をしており、獲得した資金の総額としては約54億円におよぶ(TechCrunch)。ベテランクリエイターと潤沢な資金によって、『Palia』というコミュニケーション型MMOを開発しているわけだ。


開発費も巨額と推察される『Palia』については、どのようなマネタイズが採用されるかにも注目が集まっていた。そしてSingularity 6は、基本プレイ無料でのリリースが正しいとの決断に至ったとのこと。あわせて、本作のマネタイズについての理念についてもユーザーに共有されている。

『Palia』はコンセプトとしては、人々が寄り添って遊べるような仮想世界の創造を目指しているという。そのためには、誰しもにとってプレイしやすいことが必要だという。それゆえに、購入型/サブスクリプションのビジネスを採用しないそうだ。できるだけ壁の少ない環境を作りたいとのこと。基本プレイ無料は、そうした理念に基づいた運営方式となるのだろう。

ではマネタイズについては、どうするのかというと、コスメティックアイテムのみに限定するという。ゲームプレイに影響するものや、ルートボックスについては一切排除。ゲームプレイに影響せず、ユーザーが好きな装飾アイテムを選んで買えるマネタイズ方式にしたいと語っている。具体的な対象は、衣服やコスチュームに関するものを考えているものの、まだ計画中とのこと。つまり、気軽に始めやすく、それでいてプレイヤーに優しいマネタイズ方式のゲームを目指しているわけだ。


マネタイズの方針としては、「プレイヤーの時間を尊重」「プレイヤーの選択を尊重」「プレイヤーの信頼を尊重」を掲げている。時間の尊重に関しては、本作では成長しやすくなるアイテムや、レアな成果達成をしやすくなるアイテム、友人となるNPCと仲良くなりやすくなるアイテムは販売しないとのこと。それぞれのプレイヤーが時間をかけて手に入れたアイテムが家に飾り付けられるようにし、そうしたところに価値が見出されるようにしたいとしている。そのために、ゲームプレイをすることで得られるアイテムと、有償アイテムは混合しないとのこと。課金アイテムは課金アイテムで、別枠の装飾アイテムとして扱われるのだろう。

つぎに選択の尊重について。欲しい装飾アイテムについては、いつでも選んで購入できるにしたいとのこと。アイテムを入手できない不安に駆られる、いわゆるFOMO(機を逸する恐怖)のようなプレッシャーをかけないシステムにもしたいと語っている。何かに苛まれることなく、主体的な選択ができる設計を目指している。


信頼への尊重については、運営側としてはつねにプレイヤーと対話したいとしている。時に開発事情によりやむを得ず価格の引き上げや仕様変更をする可能性にふれつつ、プレイヤーがそうしたことを望んでない時も、つねに正直になり説明をするとも表明している。開発および運用にはコストがかかると前提しながら、持続可能な運営を見据えて、開発とプレイヤーの両方が幸せになるような方法を選んでいきたいと語った。

こうしたコメントを見ても、『Palia』はマネタイズ面では比較的控えめに映るだろう。こうした経緯は、本作が目指しているゲーム像と関係していそうだ。『Palia』の目指すモデルとして、『どうぶつの森』シリーズなどがあげられている。同作は家具集めや装飾を楽しむゲームだが、世界的なヒットを記録した。課金アイテムがコスメだけだとしても、ライフシムゲームならばマネタイズのポテンシャルが見込める。

また『Palia』はたんなるゲーム運営というより、仮想世界として開発している側面もあるという。居心地の良い空間を作り上げ、人を集めて、そこから装飾を含めたビジネスを展開しようとする意図が垣間見える。開発側はゲーム開発と運営には収益が必要だとしているが、一方で前述の資金調達もありSingularity 6は新興スタジオとしては余裕があるだろう。マネタイズに急がない方針を決意できるのは、そうした背景が関係していそうだ。

Palia』は、PC向けに基本プレイ無料で配信予定だ。アルファテストも実施されている。

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