バンダイナムコグループ、IPごとの「メタバース」開発を表明。仮想空間の中で、バンナムIPのエンタメを楽しめる
株式会社バンダイナムコホールディングスは2月8日、2022年3月期第3四半期の決算を発表。これに合わせて、バンダイナムコグループの中期計画を公開した。このなかでは、メタバース開発についても言及している。
同グループは、2018年4月から開始した前中期計画では「CHANGE for the NEXT 挑戦・成長・進化」を掲げ、IP軸戦略の強化を目的にした重点戦略を推進してきた。そして今回発表した新たな中期計画では「Connect with Fans」を旗印にしている。当初は2021年4月からスタートさせる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大による急激な環境変化をふまえ1年延期し、今年4月から取り組みを開始する。
新中期計画の重点戦略としては、IP軸戦略・人材戦略・サステナビリティの3点が挙げられている。このうちIP軸戦略に関しては、グループの強みとして引き続き新中期計画の核になるとし、IPでファンと繋がる「IPxFan」、IPの価値を磨く「IPxValue」、IPで世界と繋がる「IPxWorld」の3つに分けて取り組むとしている。
特に興味深いのは、「IPxFan」における取り組みだろう。バンダイナムコグループは、IPを軸にしてファンに寄り添う新たな仕組みとして、「IPごとのメタバース」を開発すると発表した。メタバースとは仮想世界のことであり、概念や製品としては古くから存在する。ただ、新たなビジネスチャンスを開拓すべく、Meta(旧Facebook社)をはじめとしたテック企業が参入を表明し、近年にわかに盛り上がっている。
バンダイナムコグループが開発する“IPメタバース”では、オープンな場として提供される仮想空間の中で、幅広いエンターテインメントを楽しむことができるほか、フィジカルな商品や場とデジタルが融合する、バンダイナムコならではの仕組みを想定しているという。また、同グループとファンが、さらにはファン同士がコミュニティやコンテンツを通じて、長期にわたって深く広く複雑に繋がることができる。そうした繋がり方の質についても追求していくとのこと。
同グループがもつIPというと、『アイドルマスター』や『鉄拳』、『テイルズ オブ』シリーズ、「機動戦士ガンダム」などさまざまある。そうしたIPのコンテンツを基にしたメタバースを開発し、ファンに利用してもらおうということだろう。これによりバンダイナムコグループは、中長期的にIP価値の最大化に取り組むとしている。また開発に向けては、ファンに情報提供するためのIP情報の集約や、フィジカルとデジタルを融合したコンテンツ開発、ファンやパートナーが繋がる場となるコミュニティの構築を推進していくとしている。
このほか、先述した「IPxValue」においては、IPの創出とプロデュース力をさらに強化。IPを活用した事業の最大化を目指すとともに、IP自体の価値の最大化に取り組む。また「IPxWorld」では、世界の各地域が一体となって戦略を推進。事業や地域を横断したプロジェクトに取り組み、また各地域発のIP創出の育成にも注力していくという。
また今回の発表では、グループの最上位概念となるパーパス(Purpose)を「Fun for All into the Future」と制定したことを改めて表明。「世界中の人々に楽しさと感動を届け、未来に向かって笑顔と幸せを追求していく」とし、これに込めた思いを表現した新ロゴマークを今年4月から導入する。マンガ文化を象徴する“吹き出し”をモチーフにしたそうで、グループの社名および商品・サービスに、この新ロゴを使用していくという。このロゴの使用により、グループの一体感と総合力を強く訴求し、グローバル市場におけるブランド価値の向上を目指すとのことである。
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