「帝国が出てくるのに帝国が悪者じゃないゲーム」は存在するのか。難題に対し、インターネット集合知が名回答を続出

ImageCredit : Jakob Braun
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「帝国が出てくるのに帝国が悪者じゃないゲーム」は存在するのか。この問いに対し、さまざまな回答が集まり盛り上がっているようだ。 

Twitterにて漫画家として活躍する犬のかがやき氏は、2月1日にある漫画を投稿した。その内容は、昔話「かぐや姫」をパロディしたものだ。結婚を断るため、求婚者たちに無理難題を課すかぐや姫。「仏の御石の鉢」や「龍の首の五色の珠」など、世にも珍しい貴重品をもってくるように伝えていく。そして、最後に課されたお題。それは、「帝国が出てくるのに帝国が悪者じゃないゲーム」であった。 
 

 
この漫画のオチは、「帝国が出てくるのに帝国が悪者じゃないゲーム」が数々の宝物と同じくらい希少だと指摘している点にある。たしかに、ゲームで帝国と名のつく勢力が登場した場合、そのポジションは大抵主人公と敵対する悪役である場合が多い。たとえば『ファイナルファンタジー』シリーズにおいては、『II』におけるパラメキア帝国、『VI』におけるガストラ帝国などが典型的な悪役として挙げられるだろう。「帝国=悪」というイメージはある程度共有された印象であり、「帝国が悪者じゃないゲーム」は確かに見つけにくいように思われる。 

ところが、犬のかがやき氏による当該ツイートには引用リツイートが殺到。さまざまなユーザーが、実際に「帝国が悪者じゃないゲーム」を例として挙げているのだ。あまりなさそうで、意外と見つかる「帝国が味方のゲーム」の例を、いくつか紹介していこう。なお、一部の作品についてはややネタバレを含むため注意されたい。 

もっとも多くのユーザーから名前を挙げられたのは『ロマンシング サ・ガ2』だ。1993年にスーパーファミコン向けに発売され、複数プラットフォームにて移植やリマスターが展開されている。プレイヤーは、1000年の歴史をもつバレンヌ帝国に所属。戦闘や年月の経過によって皇帝が死亡するなか、皇帝継承をおこない、前の皇帝が覚えていた術や技などを引き継ぎながら攻略していくシステムをとっていた。バレンヌ帝国は世界平定のため、各地の問題を解決しながら版図を広げていくのが特徴。悪役的に描かれる帝国とは一線を画した国家といえるだろう。 
 

Steam版『ロマンシング サガ2』

 
次いで名前が多く挙がっているのは『銀河英雄伝説』シリーズだ。同シリーズは、作家・田中芳樹氏の小説「銀河英雄伝説」を原作としたゲーム。同シリーズでは、プレイヤーが銀河帝国軍もしくは自由惑星同盟軍に所属し、最終的な勝利を目指すこととなる。銀河帝国軍側の視点を選べば、当然帝国が主役となるわけだ。また『サクラ大戦』シリーズも、帝国華撃団を率いて戦う筋書であることから、「悪者じゃない帝国」の筆頭といえる。『The Elder Scrolls V: Skyrim』においても、帝国に所属するルートが存在することから、エントリー候補といえそうだ。 

扱いが難しいのは『ファイアーエムブレム 風花雪月』だろう。もともと歴代『ファイアーエムブレム』シリーズでは、さまざまな帝国が登場する。『ファイアーエムブレム 聖魔の光石』におけるグラド帝国、『ファイアーエムブレム 覚醒』のヴァルム帝国など、プレイヤーとは敵対する勢力であるケースも見られる。一方、最新作である『ファイアーエムブレム 風花雪月』においては、ストーリー分岐により、エーデルガルト率いる帝国とともに歩むルートが存在。ここでは当然、帝国側の大義に沿って物語が進行するわけだ。 

一方、エーデルガルトの進む道は必ずしも潔白とは限らない。「犠牲を払ってでも在るべき世界を作る」という彼女の信念は、「悪者じゃない=善」とは判断しきれない部分もあるだろう。必ずしも二元論で割り切れない歴史の複雑さをよく描いたシナリオとしても評価されており、かぐや姫もジャッジに迷いそうな例である。 
 

 
こうして見ると、意外と「悪者じゃない帝国」が登場するゲームは少なくないことが分かる。にもかかわらず、「帝国=悪」というイメージが根強いのはなぜだろうか。一つには、既存のフィクション作品による影響があるだろう。とくに、映画「スターウォーズ」における悪役・銀河帝国の存在はジャンル問わず多くの後発作品に影響をおよぼしているようだ。 

また、政治・歴史的な問題も指摘される。帝国は基本的に、皇帝をトップに戴く専制国家だ。よって、民主主義が支持される国におけるフィクションとしては、旧体制的=悪であるとして描写しやすい側面がある。また、帝国は複数の民族を支配下に置く国家として描かれやすい。したがって、版図に加えられる民族の差別や弾圧が描写されるといった側面もありそうだ。さらにはシナリオ構築の都合上、皇帝というトップを倒せば物語上の解決が見出せるがために、「ラスボス」ポジションとして帝国が置かれる都合もあるように思われる。 

一つの漫画作品を発端として盛り上がった、「悪者じゃない帝国」議論。改めて俯瞰すると、さまざまな視点から国家や歴史を体験できるゲームの裾野の広さを感じられそうだ。一方、こうした反響にはツイート投稿主の犬のかがやき氏も反応。新たに“「帝国が悪者ではない」「教団が悪者ではない」「大臣が悪者ではない」ゲーム”という最高難度のお題を出し、ユーザーたちの頭を悩ませている。 
 






※ The English version of this article is available here

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