『ポケモン』版『Wordle』が続々と生まれ人気。ポケモンと人気単語当てゲームの相性の良さを調べて、見えてきたこと

『ポケットモンスター』を題材とした『Wordle』が、ユーザーの手によって続々と作られているようだ。その背景には、ポケモンとWordleの奇妙な相性の良さがあった。

『ポケットモンスター』を題材とした『Wordle』が、ユーザーの手によって続々と作られているようだ。まず1月29日にTwitterユーザーのちゅう氏によって「Pokedle」が公開された。そして1月30日にTwitterユーザーやど氏の手によって、「ポケモンWordle」が公開されている。奇しくも同じタイミングにて、ポケモン版Wordleが生まれている。その背景には、ポケモンとWordleの奇妙な相性の良さがあった。


Wordle』は、単語推理ゲームだ。日替わりで設定される5文字の英単語を、1文字ずつ入力することで推理していく。入力したアルファベットが、単語に含まれており、かつ場所があっていれば文字背景が緑色に。単語に含まれているが、場所が違う場合は文字背景が黄色になる。さまざまな5文字を入力し、英単語を突き止めるのだ。ブラウザにて無料で遊ぶことができ、自分の成績をワンクリックでシェアが可能なことから世界的な流行を見せている。SNSにて、縦に並んだ、黄色と緑の謎のアイコンの羅列を見かけたことがある人も多いだろう。

すでに『Wordle』は、Josh Wardle氏が開発したオリジナル版とは別途、さまざまな言語で展開されており、ほかの開発者が作成した日本語版は多種存在。「Pokedle」と「ポケモンWordle」は、そうした『Wordle』をポケモンの名前で遊ぶ仕組みだ。ポケモンは『ポケモン レジェンズ アルセウス』発売前の時点で898匹存在。そのうち5文字のポケモンに絞って答えを推理していくわけだ。


筆者も「Pokedle」と「ポケモンWordle」を遊んでみたのだが、すらすらと推理を進めることができた。筆者にとって『ポケモン』は、子供の頃から好きなコンテンツ。ゆえにポケモンの名前がすぐに浮かぶという理由もあるだろう。だが、このとっつきやすさには、ほかにも要因があるはず。そう思って調べてみた結果、ポケモンとWordleの相性が良い理由は、ポケモン名の歴史と紐付いていることがわかった。

結論からいうと、実は『ポケットモンスター』シリーズは、5文字のポケモンが非常に多いのだ。ポケモンをぱっと浮かべてみると、そのうちのどれかは5文字のものだろう。というのも、『ポケットモンスター』シリーズにおいては、ポケモン名の上限が5文字の時代が長かった。具体的には、『ポケットモンスター X・Y』にて6文字のポケモンが解禁された。言い換えれば、第5世代までは、ポケモンはすべて5文字以下だったのである。その関係で、5文字のポケモンがとにかく多い。では実際のところ5文字のポケモンはどれだけいるのか。気になりほかの仕事に手がつかなくなった筆者は、5文字のポケモンがどれほど存在するかを、実際に数えてみた。


まずは『ポケットモンスター 赤・緑』を調査。同シリーズに出てくる5文字ポケモンは、84匹。フシギダネといった正統派5文字から、キャタピーやスリーパーといった伸ばし棒で1文字を占有するパターン。ニドラン♂・ニドラン♀のように記号で5文字になるパターンもあり。いずれにせよ、151匹のうち84匹、およそ55%のポケモンが5文字だったのである。

『ポケットモンスター 金・銀』については、新ポケモン100匹中51匹、51%が5文字ポケモンであった。特に図鑑No. 197のブラッキーから、No. 211のハリーセンまでの5文字ポケモンラッシュがすごい。15匹中12匹が5文字ポケモンである。『ポケットモンスター ルビー・サファイア』に登場する、5文字の新ポケモンは135匹中76匹。割合としては前作から5%上がった56%である。数としては多いものの、割合は大きくは増加しなかった。

しかし『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』にて5文字ポケモンの割合はぐぐっと増加。107匹の新ポケモンに対し、5文字ポケモンは73匹。割合としては68%にのぼる。かなり多い。ちなみに図鑑No. 459のユキカブリから、No. 472のグライオンまでの14匹は、すべて5文字ポケモン。同作において5文字で構成されるポケモンの多さが垣間見える5文字ラッシュ具合だ。


『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』でも5文字ポケモンの躍進は止まらない。156匹ポケモンが追加されたが、そのうち98匹が5文字ポケモン。割合は62%でやはり高い。さらに面白いのが、『ポケットモンスター X・Y』だ。前述したように、同作から6文字ポケモンが解禁され、ファイアローなど6文字までのポケモンが登場し始めた。しかしながら、『ポケットモンスター X・Y』には依然として5文字ポケモンが多い。新ポケモン72匹中、45匹が5文字ポケモン。割合としては前作を上回る63%である。対して6文字ポケモンは6匹に留まっている。割合としてはわずか8%。6文字使えるからといって、積極的に採用されたわけではないようだ。

ただ、その後は5文字ポケモン率が徐々に下がっていく。『ポケットモンスター サン・ムーン』では新ポケモン86匹中、48匹が5文字。割合は55%。『ポケットモンスター ソード・シールド』においては、新ポケモン89匹に対し、5文字ポケモンは37匹に留まった。割合としてはシリーズ過去最低の41%である。同作の6文字ポケモンは21匹。5文字ポケモンのほうが依然として多いものの、世代交代の足音が聞こえてくる。


トータルで見ると、『ポケモンGO』に登場したメルメタルなどを入れると、898匹中513匹のポケモンが5文字であることがわかった。シリーズ全体を通じた5文字ポケモンの割合は、57%である。ポケモンの半分以上が5文字で設定されているならば、5文字の単語で遊ぶ『Wordle』と相性がいいことも頷ける。選択肢が510個と限られているので、ほかの『Wordle』と比べて選択肢は狭くなるが、逆に推理しやすいともいえるだろう。いずれにせよ、名前を知らないと始まらない。『ポケモン』に対する知識量が物を言いそうである。

Pokedle」と「ポケモンWordle」は、それぞれブラウザにてプレイ可能だ。

【UPDATE 2022/2/1 13:00】
トータル計算数を微修正




※ The English version of this article is available here

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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